「できない人」として挙げられる条件を見て、自分が当てはまるかもしれないと感じた方に向けた記事です。
先に整理しておくと、「できない」には4つの意味があります。 体質として受けられないもの、いまは適さないが時期を改めればできるもの、受けられるが期待とずれやすいもの、そして方法を変えればできるものです。
最後の4つ目は見落とされやすいところです。ホワイトニングにはいくつかの方法があり、「できない」は方法単位で判定するものだからです。片方が難しくても、もう片方なら進められることがあります。
判定は4つの層に分かれる
まず全体像です。
| 層 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 1 | 受けられない | 別の手段を検討する |
| 2 | 時期を改めればできる | 先に状態を整える |
| 3 | できるが期待とずれやすい | 見通しを確認してから判断 |
| 4 | 方法によって変わる | 適した方法を選ぶ |
自分がどの層かで、取るべき行動がまったく変わります。
層1:受けられない条件
体質や状態として、施術そのものを行わない条件です。
無カタラーゼ症
この条件だけは、明確な理由があります。
人の体には、カタラーゼという酵素があります。これは過酸化水素を水と酸素に分解する働きを持っています。ホワイトニングの薬剤が体に残らないのは、この酵素が働いているためです。
無カタラーゼ症(アカタラセミア)は、この酵素が生まれつき働かない体質です。薬剤が分解されずに組織に留まるため、口の中に潰瘍や組織の壊死が生じるおそれがあります。
ホワイトニングの禁忌のなかで、機序がはっきりしている唯一の条件と言えます。診断を受けている場合は、施術を受けられません。
妊娠中・授乳中
こちらは性質が違います。危険性が確認されているのではなく、安全性が確立されていないための予防的な扱いです。
胎児や乳児への影響について十分なデータがないため、この時期は避けるという判断がとられています。時期が過ぎれば受けられます。
急ぐ理由がなければ、時期を改めるのが確実です。
歯の成長段階にある年齢
歯が作られている途中の年代では、歯の内部にある神経の空間が成人より大きく、外側からの距離が近くなっています。エナメル質も成熟の途上です。
このため、同じ施術でも刺激が伝わりやすくなります。多くの歯科医院がおおむね18歳以降を目安としているのは、こうした理由によります。詳しくは高校生はホワイトニングできる?で整理しています。
薬剤へのアレルギー
使用する薬剤や、歯ぐきを保護する材料に対して過敏症がある場合、施術は行えません。
過去に歯科の処置で反応が出たことがある方は、その内容を伝えてください。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方、歯の成長段階にある年齢の方などは受けられない場合があります。効果の感じ方には個人差があります。
自分が該当するかどうかは、診てもらうと判断がつきます。
層2:時期を改めればできる条件
この層は「できない」ではなく順番の問題です。状態を整えれば進められます。
未治療の虫歯
穴のあいた歯に薬剤が触れると、薬剤が象牙質に直接届いて強い痛みが出かねません。
治療を終えてから進めるのが原則です。ただし、目立つ位置に詰め物が入る場合は、色を合わせる順番も関わってきます。詳しくはホワイトニングと虫歯にまとめています。
歯周病・歯ぐきの炎症
歯ぐきに炎症がある状態で薬剤が触れると、刺激が加わります。
先に歯周病の治療を行い、状態が落ち着いてから進めます。なお、この治療の一環として行う歯石や着色の除去には保険が適用されることもあり、その段階で見た目が変わる場合もあります。
口内炎や粘膜の傷
一時的な状態ですが、薬剤が触れると痛みます。治ってから改めて受けるほうが負担がありません。
強い知覚過敏が出ている時期
すでに冷たいものが強くしみている状態であれば、まずそちらを落ち着かせます。
知覚過敏用の歯磨き粉を使う、フッ素の塗布を受けるといった対応をしたうえで、低濃度・短時間から始めるという進め方になります。対処はホワイトニングの知覚過敏で整理しています。
矯正装置を装着中
装置の種類によって可否が変わります。歯の表面に装置が付いている場合、その部分には薬剤が届きません。
装置を外してから進めるほうが、色を均一にできます。歯並びそのものが薬剤の届き方に与える影響は歯並びが悪くてもホワイトニングはできる?で整理しています。
層3:できるが期待とずれやすい条件
受けること自体はできますが、結果が想定と違いやすいケースです。
人工物・神経を失った歯
セラミック、レジン、金属といった人工物は、薬剤で色が変わりません。周りの歯だけが明るくなり、その部分が浮いて見えます。
神経を取った歯も、変色の原因が内部にあるため、外側からの薬剤では届きにくくなります。
薬の影響による変色
歯が作られる時期に特定の抗菌薬を服用していた場合、色素が象牙質そのものに取り込まれている場合があります。
変化はしますが、程度に限りがあります。 見通しは変色の強さによって変わるため、テトラサイクリン歯のホワイトニングで段階別に整理しています。
白い斑点がある
歯の一部に白く濁った部分がある場合、施術の過程で一時的にその差が強調されて見えます。
多くは数日で落ち着きますが、事前に知っておかないと驚きます。この現象はホワイトニングの失敗で詳しく扱っています。
層4:方法によって変わる条件
ここが本記事でもっとも伝えたい部分です。
| 条件 | オフィス | ホーム |
|---|---|---|
| 嘔吐反射が強い | 開口器での固定に負担 | マウスピースの装着が難しいことがある |
| 長く口を開けているのがつらい | 1回30〜60分の開口が負担 | 開口の必要がない |
| 光に過敏である | 光を使う方式は不可 | 該当しない |
| まとまった時間を確保できない | 通院で完結する | 続きにくい |
嘔吐反射が強い
口の奥に器具が触れると強い反射が出る方の場合、どちらの方法にも難しさがあります。
ただし、マウスピースは形の調整ができるため、範囲を前歯側に絞るといった対応が取れる場合もあります。事前に伝えておくことで、進め方を組み立てられます。
長く口を開けているのがつらい
顎関節に不調がある方にとって、1回30〜60分の開口は負担になります。
この場合、ホームホワイトニングであれば口を開け続ける必要がありません。 オフィスが難しくても、こちらなら進められます。
光に過敏である
光線過敏症がある場合、光を使う方式のオフィスホワイトニングは受けられません。
ただし、これは光を使う方式に限った話です。光を使わない方式のオフィスや、ホームホワイトニングであれば該当しません。「オフィスは無理」と言われても、全体が無理とは限りません。
「できない」で終わらせない
まとめると、こうなります。
「ホワイトニングができない」と一括りにされている条件のなかには、方法を変えれば進められるものが含まれています。
片方の方法で断られた経験があっても、別の方法について確認する価値は残ります。
自己判断できない理由
最後に、なぜ診察が必要なのかを整理します。
層1の条件は、自分で把握できるものも含まれます。無カタラーゼ症の診断を受けている、妊娠している、といった場合です。
しかし層2と層3は、自分では確認できません。 自覚症状のない虫歯、気づいていない歯ぐきの炎症、詰め物がどこに入っているか、変色の原因が何か。これらは診察を受けて初めて分かります。
そして層4は、条件を伝えて初めて相談が始まります。嘔吐反射が強い、顎に不調がある、光に過敏である。こうした情報は、こちらから伝えなければ考慮されません。
「できないかもしれない」と自分で結論を出す前に、条件を伝えて判定してもらうほうが確実です。 判定だけを受けることもできます。
自分がどの層に当たるかは、伝えれば切り分けてもらえます。
よくある質問
持病があるのですが
疾患の種類によって判断が変わるため、一律には言えません。カウンセリングの際に、診断名と治療の状況を伝えてください。必要に応じて、かかりつけの医師に確認を取ることもあります。
服用中の薬がある場合は
服用している薬をすべて伝えてください。ホワイトニングの薬剤との関係だけでなく、口の中の状態(唾液の量など)に影響する薬もあるためです。お薬手帳があると確実です。
授乳が終われば受けられますか
多くの場合、時期が過ぎれば受けられます。ただし他の条件に該当していないかは、改めて確認することになります。急ぐ理由がなければ、時期を待つのが確実です。
過去に受けて強くしみたのですが
その経験を伝えることが重要です。濃度を下げる、装着時間を短くする、知覚過敏抑制剤を併用するといった調整で、進められる場合もあります。「前回どのくらいの症状が出たか」を具体的に伝えると、設定に反映してもらえます。
まとめ
ホワイトニングが「できない」条件は、4つの層に分かれます。
層1は受けられない条件です。無カタラーゼ症、妊娠中・授乳中、歯の成長段階にある年齢、薬剤へのアレルギー。このうち無カタラーゼ症は、過酸化水素を分解する酵素が働かない体質で、機序がはっきりしている条件です。妊娠中については、危険性が確認されているのではなく、安全性が確立されていないための予防的な扱いです。
層2は時期を改めればできる条件で、未治療の虫歯、歯ぐきの炎症、口内炎、強い知覚過敏、矯正装置の装着中。これらは「できない」ではなく順番の問題です。
層3は受けられるが期待とずれやすい条件で、人工物、神経を失った歯、薬の影響による変色、白い斑点。
そして層4は、方法によって変わる条件です。長く口を開けているのがつらい方はホームなら進められますし、光に過敏な方も光を使わない方式なら該当しません。「できない」はホワイトニング全体で一律ではなく、方法単位で判定するものだという点は、覚えておく価値があります。
層2から層4は自分では判断できません。条件を伝えて判定してもらうところから始めてください。
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・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



