期日が決まっていて早く歯を白くしたい。けれど、しばらく歯科医院に行っておらず、しみる歯が1本ある。虫歯かもしれないと思いながら、ホワイトニングだけ先に受けられないかと考える。よくある状況です。
結論から言えば、虫歯があるとホワイトニングを受けられないわけではありません。これは順番の問題です。ここでは治療を先にする理由、どこまで治療してから進めるのか、詰め物の色合わせを含めた段取り、そして期日から逆算する考え方までを整理します。
虫歯があるときは治療が先になる
まず、なぜ順番が決まっているのかを押さえましょう。
穴があいていると薬剤が象牙質に直接触れる
歯は外側のエナメル質と、その内側の象牙質でできています。ホワイトニングの薬剤は通常、エナメル質を通して象牙質に届きます。
虫歯で歯に穴があいている場合、この経路を通らずに薬剤が象牙質へ直接触れます。象牙質には神経につながる細い管が通っているため、強くしみたり痛みが出たりする可能性があります。
健康な歯でも一時的にしみることはありますが、穴がある状態では程度が変わります。
深さと場所によって判断が変わる
すべての虫歯が同じ扱いになるわけではありません。判断を分けるのは、虫歯の深さと場所です。
神経に近い虫歯や、大きく進行している虫歯があれば、治療を終えてから進めるのが原則です。一方、ごく初期の段階で穴があいていない場合は、経過を見ながら並行して進められることもあります。
この判断は自分ではできません。レントゲンを含めた診察で確認します。
気づいていない虫歯が見つかることもある
自覚症状がなくても、歯と歯の間や詰め物の下に虫歯が見つかることがあります。しみる自覚がある歯とは別の場所ということもあります。
ホワイトニングを希望して受診した結果、先に治療が必要と分かるケースは珍しくありません。段取りを組むうえでは、まず状態を把握しておくことが出発点です。
詰め物・被せ物があるときの順番
虫歯を治療すると、その部分には詰め物や被せ物が入ります。ここでもうひとつ、順番が関わってきます。
人工物は白くならない
ホワイトニングの薬剤が作用するのは天然の歯だけです。セラミック、レジン、金属といった人工物の色は変わりません。
つまり、先に詰め物を入れてからホワイトニングをすると、周りの歯だけが明るくなり、詰め物の色が浮いて見えるようになります。
「治療 → ホワイトニング → 色合わせ」が基本の順番
そのため、前歯など目立つ位置に治療が必要な場合、次の順番で進めるのが基本になります。
- 虫歯の治療を行う(この段階では最終的な詰め物は入れない、または仮のもので進める)
- ホワイトニングで歯を目標の明るさにする
- 明るくなった歯の色に合わせて、詰め物や被せ物を作る
この順番なら、最終的な人工物の色を周りの歯に揃えられます。逆にすると、白くした歯に古い色の詰め物が残り、やり直しが必要です。
仮の詰め物という選択肢
「治療を終えないとホワイトニングに進めないが、最終的な詰め物を入れると色が合わなくなる」という矛盾は、仮の詰め物で解決できます。
穴を塞いで薬剤が内部に触れない状態にしたうえで、最終的な色合わせは後回しにする方法です。これなら治療を先に済ませつつ、ホワイトニング後の色に合わせられます。
奥歯など目立たない位置であれば、通常どおり治療を完了させてから進めても支障は少なくなります。詰め物の材質による違いや色合わせの詳細は、別の観点になるため個別に確認してください。
治療後どのくらい空けるか
段取りを組むうえで気になるのが期間です。
詰め物が落ち着くまでの期間
治療後すぐにホワイトニングを始められるかは、治療の内容によって変わります。詰め物を入れた直後は、材料が安定するまで一定の期間を見ることがあります。
また、治療した歯がしみやすい状態になっていることもあります。この場合、落ち着いてから始めるほうが症状を避けられます。具体的な期間は治療内容によるため、担当の歯科医師に確認してください。
期日から逆算する
結婚式などの期日がある場合、治療期間を含めて逆算します。
虫歯の治療は本数や深さによって数回の通院が必要です。そのあとホワイトニングに進み、オフィスホワイトニングなら3〜5回で1〜2ヶ月、ホームホワイトニングなら2週間から数ヶ月。さらに、目立つ位置の詰め物を色合わせする場合はその期間も加わります。
3ヶ月あれば組めることが多い一方、1ヶ月では厳しくなります。早めに状態を確認しておくと、間に合う組み方を提案してもらえます。
費用は治療とホワイトニングで別々にかかる
虫歯の治療は保険診療として扱われることが多く、ホワイトニングは自由診療です。この2つは別々の費用になります。
治療費は虫歯の本数と深さによって変わります。ホワイトニングの費用は方法によって異なり、詳細はホワイトニングの値段にまとめています。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。虫歯治療の費用とは別にかかります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
治療とホワイトニングを合わせた段取りは、状態を見てもらうと具体的に組めます。
虫歯のまま進めるとどうなるか
順番を飛ばした場合に何が起きるかも、判断材料として知っておきましょう。
強い痛みが出ることがある
前述のとおり、穴があいた歯に薬剤が触れると象牙質に直接作用します。健康な歯で起こる一時的なしみる感覚とは程度が異なり、施術を続けられなくなることがあります。
痛みで中断すれば、そこまでにかけた時間と費用が目標に届かないまま止まります。
虫歯の状態が見えにくくなる
歯が明るくなると、初期の虫歯による白濁や、わずかな変色が見分けにくくなることがあります。
治療の必要な箇所を把握しにくくなるという意味で、順番が逆だと不都合が生じます。
結果として遠回りになる
痛みで中断する、詰め物の色が合わずやり直す、虫歯が進んで治療範囲が広がる。どれも、順番を守っていれば避けられたはずの手間です。
先に治療するのは我慢を強いるためではなく、結果的に短い工程で目標に届くためです。期日が近いほど、この順番が効いてきます。
ホワイトニングで虫歯になることはあるのか
逆方向の疑問についても触れておきます。
薬剤が虫歯の原因になるわけではない
虫歯は、口の中の細菌が糖を分解して作る酸によって歯が溶けることで起こります。ホワイトニングの薬剤は、この過程に関与するものではありません。
薬剤そのものが虫歯を作るということはないと考えられています。
施術後の口の中の状態に注意
ただし、施術直後は歯の表面を覆う膜が一時的に失われ、表面がわずかに脱灰した状態になります。この時期に酸性の飲食物を頻繁に摂ったり、ケアを怠ったりすれば、歯にとって好ましい環境ではなくなります。
これは薬剤が虫歯を作るという話ではなく、施術後しばらくは口の中の環境に気をつけたほうがよい、という話です。しみる症状との関係はホワイトニングの知覚過敏で整理しています。
検診のきっかけとして使う
ホワイトニングを受けるには、事前に虫歯や歯周病の有無を確認することになります。しばらく歯科医院に行っていない方にとっては、状態を把握する機会になります。
自覚症状のない段階で見つかれば、治療も短く済みます。白くしたいという動機が、結果として口の中の状態を整えることにつながる面もあります。
自分の歯に治療が必要かどうかは、確認しておくと段取りが立てられます。
よくある質問
虫歯の治療中でもホワイトニングを始められますか
治療の段階によります。穴が塞がっていて薬剤が内部に触れない状態であれば、並行して進められることもあります。一方、治療中の歯がしみている場合や、神経に近い処置をした直後は避けます。判断は担当の歯科医師に確認してください。
小さい虫歯なら大丈夫ですか
穴があいていない初期の段階であれば、経過を見ながら進められることもあります。ただし「小さい」の判断は見た目だけではできず、レントゲンで確認して初めて分かることもあります。自己判断で進めるのは避けてください。
銀歯は白くなりますか
なりません。金属はホワイトニングの薬剤で色が変わらないためです。目立つ位置にあって気になる場合は、白い材料に置き換える処置を検討することになります。その場合も、ホワイトニングで周りの歯を明るくしてから色を決めるほうが仕上がりが揃います。
治療とホワイトニングは同じ医院で受けたほうがいいですか
同じ医院であれば、治療の状態を踏まえて段取りを組めます。別々でも進められますが、その場合は治療内容とホワイトニングの予定を双方に伝えておくと、順番の行き違いを避けられます。
まとめ
虫歯があってもホワイトニングを受けられないわけではありません。ただし、穴があいた歯に薬剤が触れると強い痛みが出る可能性があるため、治療を先にするのが基本です。判断は虫歯の深さと場所によって変わります。
前歯など目立つ位置に治療が必要な場合は、「治療 → ホワイトニング → 色合わせ」の順番で進めると、最終的な詰め物の色を周りの歯に揃えられます。最終的な詰め物を入れる前に仮のもので進めるという方法もあります。
期日がある場合は、治療期間を含めて逆算してください。3ヶ月あれば組めることが多い一方、1ヶ月では厳しくなります。まず状態を把握することが、遠回りを避ける出発点になります。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



