全体は明るくなってきたのに、歯の根元だけ黄色いまま。それどころか、白くなったぶん根元が目立つようになった。ホームホワイトニングを進めている方から出てくる悩みです。
根元が黄色く見える原因は3つあり、そのうちホワイトニングで対応できるのは限られます。さらに、マウスピースの形が関わっていることもあります。
ここでは原因を切り分けたうえで、対処の順番を整理します。歯ぐきが下がっている場合は刺激に弱くなっているため、その注意点も含めて説明します。
根元が黄色く見える3つの原因
まず全体像です。
| 原因 | 見た目の特徴 | ホワイトニングの効き |
|---|---|---|
| ① 着色が溜まっている | 歯ぐき際に沿って帯状に濃い | 効かない。クリーニングの領域 |
| ② エナメル質が薄い | 根元にかけてなだらかに濃くなる | 作用するが差は残りやすい |
| ③ 歯ぐきが下がって歯根面が露出 | 歯と歯ぐきの境目に段差や色の違い | 改善しにくい |
①と②③では、対処がまったく違います。順に見ていきます。
原因1:着色が溜まっている
まず、これを疑ってください。
歯ぐき際は磨き残しが出やすい
歯と歯ぐきの境目は、歯ブラシが当たりにくい場所です。毛先が届きにくく、磨いたつもりでも残りやすくなります。
そこに着色や歯垢が蓄積すれば、その部分だけ濃く見えます。この磨き残しは見た目だけでなく口臭にも関わります(ホワイトニングと口臭)。
帯状に濃いなら着色を疑う
見分ける手がかりがあります。歯ぐきの縁に沿って、線や帯のように濃くなっているかを見てください。
境界がはっきりしていて帯状であれば、着色の可能性が高くなります。一方、根元にかけてなだらかに濃くなっているなら、次に説明する構造の問題です。
クリーニングで落ちる
着色であれば、歯科医院のクリーニングで落とせます。ホワイトニングでは落ちません。 薬剤は歯の内部の色素に作用するもので、表面に付着したものを取り除くものではないためです。
そして、着色が層になって付いていると、薬剤が歯面に届く妨げにもなります。先に落としておくほうが、その後の作用も出やすくなります。 原因の分け方は歯の黄ばみを取る方法で整理しています。
原因2:エナメル質が薄い
こちらは構造の問題です。
エナメル質は根元にかけて薄くなる
歯の色は、半透明のエナメル質を通して内側の象牙質が透けて見えているものです。
そして、エナメル質の厚みは一様ではありません。 歯の先端側で厚く、根元に近づくほど薄くなります。
構造上、根元が濃く見えるのは自然
エナメル質が薄い部分ほど、象牙質の黄色みが強く透けます。つまり、根元が先端より濃く見えるのは、健康な歯でも起こる自然なことです。
異常ではありませんし、ケアを怠った結果でもありません。仕組みはホワイトニングの仕組みにまとめています。
作用はするが差は残りやすい
この部分にもエナメル質はあるので、薬剤は作用します。全体が明るくなれば、根元も明るくなります。
ただし、先端との差はある程度残ります。 もともとの厚みの違いによる差なので、均一に揃うわけではありません。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容はマウスピースと薬剤を用いた歯の漂白で、費用は歯科医院によって異なります。歯ぐきの状態の検査や、着色・歯石の除去は保険診療として扱われる場合があり、ホワイトニングの費用とは別になります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方には個人差があります。
自分の根元の黄ばみがどの原因かは、見てもらうと切り分けられます。
原因3:歯ぐきが下がって歯根面が露出している
3つ目が、もっとも注意が必要なものです。
露出した部分はエナメル質に覆われていない
歯ぐきが下がると、本来は歯ぐきの中に隠れている歯の根の表面が見えるようになります。
この部分は、エナメル質に覆われていません。 歯冠部(歯ぐきから上の見えている部分)とは、表面の構造そのものが違います。
見分け方としては、歯と歯ぐきの境目に段差を感じる、その部分だけ色みが違う、といった特徴があります。
通常の経路が成り立たない
ホワイトニングの薬剤は、エナメル質を通って内部の色素に届き、そこで作用します。
エナメル質がない部分では、この経路が成り立ちません。 そのため、露出した歯根面に対するホワイトニングの効果は限定的とされています。
「全体は明るくなったのに、ここだけ変わらない」という状態が起こるのは、このためです。
しみやすいので注意が必要
そして、安全上の注意があります。
露出した歯根面は、刺激に弱い部分です。 エナメル質という保護層がないため、薬剤の刺激が伝わりやすく、しみる症状が出やすくなります。
もともと冷たいものがしみる自覚がある方は、この状態に該当している可能性があります。濃度や装着時間を抑えるといった調整が必要になるので、歯ぐきが下がっている自覚があるなら伝えてください。 症状への対処はホワイトニングの知覚過敏で整理しています。
マウスピースの形も関わる
原因の切り分けとは別に、確認しておきたい点があります。
縁の位置
ホームホワイトニングのマウスピースは、薬剤が歯ぐきに触れないよう、縁を歯ぐきの少し手前で止めて作られることがあります。
これは歯ぐきへの刺激を避けるための設計です。ただし、その結果として根元の最も歯ぐきに近い部分には、薬剤が届いていないという状態が生じ得ます。
薬剤が届いているかを確認する
「根元だけ変わらない」と感じたら、この可能性を確認してください。
装着した状態を鏡で見て、マウスピースの縁がどこまで来ているか。根元の気になっている部分が、マウスピースの内側に入っているかどうか。
これは自分でもある程度確認できます。 縁の位置が原因であれば、調整で対応できることがあります。マウスピースの確認方法はホームホワイトニングの注意事項にまとめています。
なお、根元だけジェルを多く塗るという対処はすすめられません。 はみ出した分が歯ぐきに触れて、刺激の原因になるだけです。
「白くしたら根元が目立つ」の理由
もうひとつ、よくある感覚について。
差が広がっただけ
全体が明るくなるほど、根元との差は相対的に大きくなります。
根元が濃くなったわけではありません。先端側が明るくなったぶん、コントラストが上がって目立つようになった、という状態です。
目標の設定で調整できる
この点を踏まえると、目標をどこに置くかで印象が変わります。
根元との差が気になるなら、明るくする目標を控えめに設定するという選択もあります。全体を最大限明るくするほど、差は開きます。白さを追いすぎたときに何が起こるかはホワイトニングのやりすぎで整理しています。段階の考え方はホワイトニングのレベルで整理しています。
対処の順番
最後に、順番をまとめます。
まずクリーニング
もっとも効くのがこれです。 着色が原因の部分は、これで落ちます。
そして、着色を落とすことで薬剤の到達も改善します。同時に、歯ぐきの状態も確認してもらえます。
マウスピースの確認
次に、薬剤が届いているかどうかです。縁の位置と適合を見てもらってください。
届いていない部分があるなら、それは効果の問題ではなく物理的な問題です。
届かない場合の選択肢
着色でもなく、マウスピースの問題でもなく、歯根面の露出が原因である場合。ホワイトニングでは対応が難しくなります。
その場合は、その部分を歯科用の材料で覆うといった別の処置が検討されます。ただし、まずは上の2つを済ませてから判断してください。それだけで印象が変わることは少なくありません。
自分の場合に何が必要かは、見てもらうと具体的になります。
よくある質問
根元だけ濃く塗れば白くなりますか
すすめられません。ジェルを多く入れても白くなるのは早まらず、はみ出した分が歯ぐきに触れて刺激の原因になるだけです。根元が変わらない理由が「量が足りない」ことである可能性は低く、届いていないか、そもそも作用しにくい部分であるかのどちらかです。
根元がしみます
歯ぐきが下がって歯根面が露出している可能性があります。この部分はエナメル質に覆われておらず、刺激に弱くなっています。装着を休んで、濃度や時間の調整について相談してください。症状が中止後も24時間以上続く場合は受診してください。
歯ぐきが下がるのは止められますか
原因によって対応が変わります。強い力でのブラッシング、歯周病、噛み合わせなどが関わることがあります。歯科医院で原因を確認して、ブラッシングの方法を見てもらうところから始めてください。歯周病の検査・治療には保険が適用されることもあります。
磨き方で改善しますか
着色が原因であれば、磨き方の見直しで蓄積を抑えられます。ただし、強く磨くのは逆効果です。歯ぐきが下がる原因になりますし、歯の表面を傷めて着色が付きやすくなります。力を入れず、毛先を歯と歯ぐきの境目に当てる磨き方を、歯科医院で教えてもらってください。
まとめ
歯の根元が黄色く見える原因は3つあります。
着色の蓄積であれば、歯ぐき際に帯状に濃く見えます。これはクリーニングで落ちるもので、ホワイトニングでは対応できません。
エナメル質が薄いことによる場合、根元にかけてなだらかに濃くなります。エナメル質は根元ほど薄いため、これは健康な歯でも起こる自然な現象です。薬剤は作用しますが、先端との差はある程度残ります。
歯ぐきが下がって歯根面が露出している場合、そこはエナメル質に覆われていないため、通常の経路が成り立ちません。ホワイトニングの効果は限定的です。そしてこの部分は刺激に弱く、しみやすいので、自覚があるなら、その旨を伝えてください。
あわせて確認したいのが、マウスピースの縁の位置です。歯ぐきへの刺激を避けるため縁を手前で止めていると、根元に薬剤が届いていないことがあります。装着した状態を鏡で見れば、自分でも確認できます。
対処の順番は、クリーニング → マウスピースの確認 → それでも残る場合の別の処置です。最初の2つだけで印象が変わることは少なくありません。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



