マウスピースはすでに持っている。あとはジェルさえ手に入れば続けられる。そう考えるのは自然なことですし、実際に薬剤の追加購入は継続の一部として想定されています。
ただ、ここで見落とされやすい点があります。続けるうえでのボトルネックは、薬剤ではなくマウスピースの側にあります。
薬剤は買い足せますが、マウスピースは時間とともに合わなくなります。歯のほうも変わっていきます。「マウスピースがあるから大丈夫」という前提は、そのままでは持ちません。
ここでは追加購入の実務を確認したうえで、何を・どのくらいの間隔で確認すべきかを整理します。
薬剤のみの追加購入は想定されている
まず、可否から。
継続の一部として組まれている
ホームホワイトニングは、最初のセットに含まれるジェルを使い切ったら追加していく形が基本です。目標に届くまでに追加が必要になることも、維持のために使い続けることも、想定されています。
特別な依頼ではありません。 必要な本数の見積もり方はホームホワイトニングの値段にまとめています。
状態確認が前提になることが多い
ただし、多くの歯科医院では、口の中の状態を確認したうえで処方するという運用になっています。
これは手続き上の形式ではなく、後述するとおり実質的な理由があります。
来院の要否は医院による
来院せずに受け取れるかどうかは、歯科医院の運用によって違います。
一定期間ごとの受診を条件に、その間は郵送などで対応する場合もあります。継続する予定があるなら、この点を最初に確認しておくと計画が立てやすくなります。
ボトルネックはマウスピースの側
ここが本題です。薬剤を買い足せても、マウスピースが使えなければ進められません。
| 変化 | 原因 | 起こること |
|---|---|---|
| 変形 | 熱、保管環境 | 薬剤が漏れる、密着しない |
| 劣化 | 素材の経年変化 | ひび、白濁、におい |
| 歯並びの変化 | 加齢による移動、矯正、抜歯、治療 | 適合しなくなる |
| 口の中の状態の変化 | 虫歯の進行、歯ぐきの炎症 | 施術に適さない状態になる |
マウスピースには寿命がある
マウスピースは薄い樹脂でできています。熱に弱く、繰り返し使ううちに素材が劣化します。
熱いお湯で洗った、高温になる場所に置いた、といった扱いがあれば変形します。目に見えないわずかな変形でも、薬剤の密着には影響します。
年数で一律に決まるものではなく、素材と扱い方によって変わります。
歯のほうも変わっていく
見落とされやすいのがこちらです。マウスピースが無事でも、歯並びのほうが変わることがあります。
歯は加齢とともにわずかに移動します。矯正治療を受けた、親知らずを抜いた、詰め物や被せ物を入れ替えた。こうした変化があれば、以前の歯型に合わせたマウスピースは合わなくなります。
数年前に作ったものをそのまま使おうとして、装着したら浮いていた、という状況は起こり得ます。
合わないまま使うと何が起こるか
浮いている部分があると、2つのことが同時に起こります。
ひとつは、その歯に薬剤が届かないこと。密着していなければ作用しません。結果として、その部分だけ変化が出ません。
もうひとつは、隙間から薬剤が漏れて歯ぐきに触れること。刺激となって、痛みや白濁の原因になります。
つまり、効果が落ちて負担が増えるという、両方に悪い状態になります。この点はホームホワイトニングで白くならないでも原因のひとつとして扱っています。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容はマウスピースと薬剤を用いた歯の漂白で、費用は歯科医院によって異なります。ジェルの追加購入やマウスピースの作り直しには、別途費用がかかる場合があります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
いま持っているマウスピースが使えるかどうかは、見てもらうと分かります。
どのくらいの間隔で確認するか
では、どの程度の頻度で見てもらえばよいか。
目安の考え方
一律の基準はありませんが、継続して使っているなら数ヶ月に一度、状態を見てもらうのが現実的です。
判断の目安になるのは、次の3つです。前回の確認からどのくらい経ったか。その間に歯の治療を受けたか。装着したときに違和感がないか。
このいずれかに引っかかるなら、薬剤を買い足す前に確認してください。
見てもらう4項目
確認してもらうのは、次の4点です。
- マウスピースが浮いている部分がないか
- 変形、ひび、劣化がないか
- 虫歯や歯ぐきの炎症が新たに生じていないか
- しみる症状が続いていないか
このうち上の2つは、鏡を使えば自分でもある程度確認できます。 装着して浮いている箇所がないか、明らかなひびがないか。気になる点があれば、その時点で相談してください。
症状があるときは期間にかかわらず
しみる症状が続いている、歯ぐきが痛む、特定の1本だけ変化が乏しい。こうした状態があるなら、間隔にかかわらず見てもらってください。
薬剤を買い足して続ければ解決する、という種類の問題ではないためです。
別の歯科医院で作ったマウスピースの扱い
実際にありがちな状況です。
対応は医院によって違う
以前に別の歯科医院で作ったマウスピースを持っていて、そこに通うのが難しくなった。近くの歯科医院でジェルだけ出してもらえないか。
この場合、対応は歯科医院によって異なります。 適合や状態を確認したうえで判断されるのが一般的です。
処方する側としては、そのマウスピースが現在の歯に合っているか、状態が使用に耐えるかを確認する必要があります。確認せずに薬剤だけを渡すことは、通常は行われません。
問い合わせるときに伝えること
事前に確認する場合、次の情報があると話が早くなります。
- いつ、どこで作ったマウスピースか
- 使用していた薬剤の種類と濃度(分かる範囲で)
- 最後に使ったのはいつか
- その後、歯の治療を受けたか
「濃度が分からない」という状態はよくあります。 その場合も、現在の状態を見たうえで新たに設定してもらえます。
作り直しになる場合
確認の結果、合っていないと判断されれば作り直しになります。
費用はかかりますが、合わないマウスピースで続けるより結果的に無駄が少なくなります。 薬剤を買っても効果が出ず、歯ぐきに負担がかかるだけ、という状態を避けられます。
薬剤だけを通販で買う場合
最後に、この経路についても触れておきます。
歯科医師の管理下で扱う薬剤である
歯の内部の色素を分解する薬剤を扱う行為は、医療行為として位置づけられています。国内で一般向けに販売されているものではありません。
海外のサイトから取り寄せる経路は存在しますが、個人輸入という扱いになります。
抜け落ちるもの
この経路で買った場合、抜け落ちるのは薬剤そのものではなく、周辺の工程です。
口の中の状態の確認、マウスピースの適合の確認、濃度と装着時間の設定、症状が出たときの調整。これらがないまま使うことになります。
本記事で述べてきたとおり、続けるうえでのボトルネックはマウスピースと口の中の状態です。そこを確認せずに薬剤だけを入手しても、問題は解決しません。 薬剤の入手経路についてはホームホワイトニングのジェルでも整理しています。
いま持っているもので続けられるかは、見てもらうと判断できます。
よくある質問
何本かまとめて買えますか
医院によって扱いが異なります。ただし、薬剤は温度と時間の影響を受けるため、使い切れない量をまとめて持っておくと分解が進んで作用が落ちます。使用期限と保管方法を確認したうえで、無理のない本数にしておくほうが確実です。
前回から1年空きましたが同じマウスピースを使えますか
まず確認してもらってください。1年のあいだに歯がわずかに移動していることや、素材が劣化していることがあります。装着して浮いている部分がないかを自分で見ておくと、相談のときに伝えやすくなります。
濃度を変えて買えますか
診察のうえで判断されます。前回しみる症状が強く出たなら濃度を下げる、変化が乏しかったなら見直す、といった調整は可能です。前回どうだったかを具体的に伝えると、設定に反映してもらえます。
家族と同じマウスピースを使えますか
使えません。マウスピースは個人の歯型に合わせて作られているため、他の人には適合しません。衛生上の問題もあります。薬剤の共用も同様に避けてください。
まとめ
ホームホワイトニングの薬剤のみを買い足すことは、継続の一部として想定されています。特別な依頼ではありません。
ただし、続けるうえでのボトルネックは薬剤ではなくマウスピースの側にあります。 マウスピースは熱や経年で変形・劣化しますし、歯並びのほうも加齢や治療によって変わります。合わないまま使うと、薬剤が届かず、しかも漏れて歯ぐきに触れるという、効果が落ちて負担が増える状態になります。
そのため、継続して使っているなら数ヶ月に一度は状態を見てもらってください。確認するのは、マウスピースの浮きと劣化、新たな虫歯や歯ぐきの炎症、そして症状の有無です。上の2つは鏡である程度自分でも確認できます。
以前に別の歯科医院で作ったマウスピースについては、対応が医院によって異なります。作った時期、使っていた薬剤、最後に使った時期、その後の治療歴を伝えて、問い合わせてみてください。
そして、通販で薬剤だけを入手しても、確認の工程が抜け落ちるだけです。ボトルネックはそちらにあるので、薬剤を手に入れても解決しません。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



