歯科医院で使う薬剤は「高濃度」だと説明されます。この言葉を聞いて、強すぎないかと不安になる方もいれば、逆に「高濃度だから効くはず」と受け取る方もいます。
どちらの受け取り方をするにしても、まず濃度の数字の読み方を知っておく必要があります。 オフィスとホームでは使っている薬剤の種類が違うため、表示されている数字をそのまま比べることができないからです。
ここでは、使われる材料を整理したうえで、濃度の換算、そして薬剤の違いが何を変えて何を変えないのかまでを説明します。
オフィスで使うのは高濃度の過酸化水素
まず、何を使っているのかから。
主成分は過酸化水素
オフィスホワイトニングで使われる薬剤の主成分は過酸化水素です。濃度は一般に20〜35%程度とされますが、製品や方式によって幅が出ます。
この薬剤が分解する過程で生まれるフリーラジカルが、歯の内部に蓄積した色素の構造を変えます。色が薄く見えるようになる仕組みはホワイトニングの仕組みで整理しています。
ホームで使うのは過酸化尿素
一方、ホームホワイトニングで主に使われるのは過酸化尿素です。こちらは10〜35%程度と幅を持たせて設定されています。
過酸化尿素は、口の中で時間をかけて分解し、過酸化水素と尿素になります。つまり、最終的に作用するのは同じ過酸化水素ですが、供給のされ方が違います。
濃度の数字はそのまま比べられない
ここが本題です。
過酸化尿素が分解して生じる過酸化水素は、およそ1/3にあたります。 つまり、表示されている濃度をそのまま並べても、比較したことになりません。
| 表示 | 過酸化水素としての相当量(概算) |
|---|---|
| ホーム:過酸化尿素 10% | 約3.5% |
| ホーム:過酸化尿素 35% | 約12% |
| オフィス:過酸化水素 35% | 35% |
「オフィスが35%でホームが10%だから3.5倍」ではありません。実際には10倍前後の開きがあります。
この差があるからこそ、進め方が変わります。オフィスは高濃度を短時間で作用させ、ホームは低濃度を長時間かけて作用させる。濃度と時間がセットで設計されているのは、この違いによるものです。 ホーム側の濃度と装着時間の対応はオパールエッセンスとは?で具体例を扱っています。
薬剤以外に使われるもの
施術では、漂白剤以外の材料も使われます。
| 材料 | 役割 |
|---|---|
| 歯ぐきの保護材 | 高濃度の薬剤が粘膜に触れないよう覆う |
| 光照射 | 薬剤の分解反応を促す |
| 触媒となる成分 | 薬剤側に含まれ、反応を促す |
| 知覚過敏抑制剤 | 施術後の症状を抑える目的で使われる |
歯ぐきの保護材
薬剤を塗る前に、歯ぐきを樹脂状の材料で覆います。高濃度の薬剤が粘膜に直接触れると、刺激となって白濁や痛みの原因になるためです。
この工程はオフィスホワイトニング固有のもので、あとで触れる「自己判断で高濃度の薬剤を使ってはいけない理由」に直結します。
光と触媒
光を当てるのは、薬剤の分解反応を促すためです。光そのものが歯を白くしているわけではありません。
反応を促す成分を薬剤側に含む方式もあり、その場合は光を使いません。方式が違うだけで、作用しているのはどちらも薬剤です。
知覚過敏抑制剤
施術のあとにしみる症状が出ることを見込んで、抑制剤を塗布することもあります。
しみやすい自覚がある方は、こうした対応の有無を事前に確認しておくと安心です。症状への対処はホワイトニングの知覚過敏にまとめています。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や使用する薬剤によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
自分の歯にどの設定が合うかは、状態を見てもらうと決められます。
薬剤の違いが変えるもの
使う薬剤によって、実際に何が変わるのかを整理します。
1回あたりの変化量
濃度が高いほど、1回の施術で得られる変化は大きくなる傾向があります。
そのぶん通う回数が減ることもあります。ただし後述するとおり、最終的に届く場所が変わるわけではありません。
しみやすさ
濃度が高いほど、刺激も強くなります。しみやすい自覚がある方にとっては、この点が選択を左右します。
濃度を抑えた設定を選べば、1回の変化は小さくなる代わりに症状が出にくくなります。 回数をかけて進めるという判断です。
施術時間と回数
濃度と作用時間はセットで設計されているため、薬剤が変われば1回の所要時間も変わります。
短時間で終わる設定と、時間をかける設定に分かれます。どちらが良いというものではなく、生活の条件との組み合わせで決まります。所要時間の考え方はオフィスホワイトニングの費用でも価格差の要因として整理しています。
薬剤が変えないもの
一方で、薬剤を変えても変わらないことがあります。ここを押さえておくと、期待の設定を誤りません。
到達できる白さの上限
どこまで白くできるかは、薬剤ではなく歯の側で決まります。
もともとの歯質、エナメル質の厚み、変色の原因。これらによって届く範囲が決まっています。強い薬剤に変えれば届く、という性質のものではありません。
人工物は白くならない
セラミック、レジン、金属。これらには分解する対象となる色素がないため、どの薬剤を使っても色は変わりません。
色戻りは起こる
白さは永久ではなく、一般に3〜6ヶ月ほどで色戻りが始まります。これも薬剤によって変わるものではありません。
高濃度であることの意味
最後に、扱いの制限について。
歯科医師の管理下でのみ扱える理由
高濃度の過酸化水素を歯に作用させる行為は、医療行為として位置づけられています。歯科医師の管理のもとでのみ行えます。
理由は、事前に口の中の状態を確認する必要があることと、施術中に歯ぐきを保護する工程が必要なことです。薬剤そのものだけでなく、周辺の工程がセットで安全性を担保しています。
個人輸入した薬剤のリスク
海外から高濃度の薬剤を取り寄せる経路は存在しますが、すすめられません。
診察を受けていないため、未治療の虫歯やひびがある状態で使うことになります。歯ぐきの保護もありません。歯科医院で行われている工程のうち、薬剤を塗る部分だけを取り出して真似することになります。
こうした使い方が、実際に起こる負担の中心です。この点はホワイトニングの失敗でも整理しています。
未治療の虫歯があると
穴のあいた歯に高濃度の薬剤が触れると、薬剤が象牙質に直接届き、強い痛みが出かねません。
施術前に口の中を確認するのは、この種の事態を避けるためです。
自分の状態でどの薬剤・どの設定が適するかは、診てもらうと決められます。
よくある質問
薬剤の種類は選べますか
歯科医院が導入しているシステムのなかから、状態に合わせて設定されます。希望を伝えることはできますが、指名して選ぶという形にはならないことが多くなります。しみやすい、期日があるといった条件を伝えれば、それに合わせた設定を組んでもらえます。
高濃度のほうが白くなりますか
1回あたりの変化は大きくなる傾向がありますが、最終的に届く場所は変わりません。到達点は歯の側で決まっているためです。高濃度は「早く進む」ものであって、「より白くなる」ものではありません。
妊娠中でも使えますか
妊娠中・授乳中の方は、ホワイトニングを受けられないことがあります。安全性が確立されていないことによる予防的な扱いです。時期を改めることになるため、担当の歯科医師に相談してください。
薬剤の味やにおいはありますか
製品によりますが、独特の味やにおいを感じることもあります。施術中は歯ぐきを保護し、口を開けた状態を保つため、唾液を飲み込みにくい状態にもなります。気になる場合は施術中に伝えれば、対応してもらえます。
まとめ
オフィスホワイトニングで使われる主成分は過酸化水素で、濃度は一般に20〜35%程度とされます。ホームで使われる過酸化尿素とは、種類そのものが違います。
そして重要なのは、この2つの濃度はそのまま比べられないという点です。過酸化尿素が分解して生じる過酸化水素は、およそ1/3にあたります。「オフィス35%とホーム10%で3.5倍」ではなく、実際には10倍前後の開きがあります。この差が、オフィスの短時間・高刺激とホームの長時間・低刺激という設計の根拠になっています。
施術では薬剤以外に、歯ぐきの保護材、光照射や触媒、知覚過敏抑制剤が使われます。歯ぐきの保護はオフィス固有の工程で、高濃度の薬剤を安全に扱うために欠かせません。
薬剤によって変わるのは、1回の変化量、しみやすさ、施術時間と回数です。一方、到達できる白さの上限は薬剤ではなく歯の側で決まります。 強い薬剤に変えれば届く、というものではありません。
高濃度の薬剤を扱えるのが歯科医師の管理下に限られるのは、薬剤そのものだけでなく、事前の診察と歯ぐきの保護という工程がセットで必要だからです。
東京銀座有楽町矯正歯科のホワイトニング
通院の負担を抑えたい方に向けて、オンライン診療と自宅でのケアで進めるホワイトニングをご用意しています。3Dスキャンで採得した歯型からオーダーメイドのマウスピースを作成し、歯科医師の診断のもとでホワイトニング剤と知覚過敏抑制剤をお届けします。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



