費用を払って施術を受けたのに、期待した結果になっていない。鏡を見ても変わった気がしない。あるいは施術直後は白かったのに、数日で戻った気がする。
こうした状態のとき、原因を探す前に確かめておきたい点があります。いつの状態を見て判断しているかです。ここがずれていると、正常な経過を「失敗」と受け取ってしまいます。
ここでは判断の起点を確認したうえで、回数の期待値、施術側の条件、歯の側の条件という順に切り分けます。そのうえで、次にどうするかまで整理します。
まず「いつの状態」を見ているかを確かめる
オフィスホワイトニングには固有の現象があります。
施術直後がいちばん白く見える
施術が終わった直後、鏡を見て「白くなった」と感じる。これは実際にそう見えています。
ただし、この直後の白さの一部は一時的なものです。薬剤が作用する過程でエナメル質の表面の状態が一時的に変化し、光が乱反射することで、実際以上に白く見えます。
この現象はホワイトニングの仕組みで詳しく整理していますが、色素が分解されたことによる白さとは別のものです。
数日で落ち着くのは正常な経過
表面の状態が元に戻っていくにつれて、この一時的な白さは薄れます。数日のうちに落ち着きます。
このとき「戻ってしまった」と感じるのは、よくあることです。 しかし効果が失われたわけではありません。一時的な部分が引いて、色素の分解による白さが残った状態です。
落ち着いたあとの色が結果
つまり、評価するべきなのは施術から数日たって落ち着いた状態です。
直後と比べれば、どうしても暗く見えます。比較すべきは施術直後ではなく、施術を受ける前の状態です。
ここを混同していると、毎回「戻った」という結論になります。開始前の記録があれば、この判断ができます。記録がない場合は、いまの状態を記録して次回の起点にしてください。
回数と期待のずれ
判断の起点を確かめたうえで、次は回数です。
1回で目標に届くことは少ない
オフィスホワイトニングの1回あたりの変化は、2〜3段階が目安とされています。
これは変化としては小さくありませんが、目標の白さに届くかどうかは別です。1回受けた時点で判断しているなら、そもそも評価の段階に来ていません。
目安は3〜5回
目標到達までは3〜5回、期間にして1〜2ヶ月というのが一般的な目安です。
1〜2週間の間隔を空けながら進めるため、時間もかかります。この見込みを聞いていなかった場合、1回目や2回目で「効かなかった」と感じることになります。
上がり方は後半ほど鈍る
もうひとつ知っておきたいのが、変化のペースが一定ではないという点です。
暗い段階から始めた場合、最初の数段階は比較的動きやすくなります。分解できる色素が多く残っているためです。明るい領域に近づくほど、1段階の変化に時間がかかります。
だから「1回で2〜3段階」は序盤の話であり、後半になると同じペースでは進みません。段階の考え方はホワイトニングのレベルにまとめています。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や到達できる範囲には個人差があります。
いまの状態が想定の範囲内かどうかは、伝えれば判断してもらえます。
施術側の条件を確認する
ここからは、施術の条件に関わる部分です。
| 条件 | 変化に与える影響 |
|---|---|
| 事前のクリーニング | 表面の着色が層になっていると薬剤が歯面に届かない |
| システムの方式 | 薬剤の種類や照射の回数によって1回の変化量が違う |
| 対象の本数・範囲 | 対象外の歯は変わらない |
事前のクリーニングが足りていたか
薬剤は、歯の表面に直接触れて初めて作用します。
着色が層になって付いていると、その分だけ薬剤の到達が妨げられます。長く着色を落としていなかった場合、この影響が出ます。
施術前にクリーニングを行うのはこのためです。着色が多い状態であれば、先に落としてから進めるほうが結果が出ます。
システムの方式と照射の回数
使用する薬剤の種類、光を当てるかどうか、当てる場合の回数。これらは医院によって設定が違います。
1回あたりの変化量が控えめな設定であれば、その分だけ回数が必要になります。設定が違うだけで、優劣ではありません。 ただし、自分が受けたのがどういう設定だったかは把握しておく価値があります。
対象の本数と範囲
見落とされやすいのがこれです。料金設定によって、対象となる歯の範囲が決められています。
上下の前歯だけが対象という設定であれば、奥歯は変わりません。「奥歯が白くなっていない」のは失敗ではなく、そもそも対象に入っていなかった可能性が考えられます。
どこまでが対象だったかは、料金表や説明を確認してみてください。
歯の側の条件
施術の条件に問題がない場合、原因は歯の側にあります。
人工物・神経を失った歯
セラミック、レジン、金属といった人工物の色は薬剤で変わりません。分解する対象となる色素がないためです。
また、神経を取る処置を受けた歯は、変色の原因が歯の内部にあるため、外側から作用させる方法では届きにくくなります。
特定の歯だけ変わっていない場合、この可能性がまず考えられます。
薬の影響による変色
歯が作られる時期に特定の抗菌薬を服用していた場合、色素が象牙質そのものに取り込まれている場合があります。
この場合も変化はしますが、改善の程度には限りが出ます。程度によって見通しが変わるため、確認が必要です。
到達点には個人差がある
もともとの歯質、エナメル質の厚み、変色の原因。これらによって、届く範囲は人それぞれです。
「誰でも同じ白さになる」ものではありません。 歯の側の原因についてはホームホワイトニングで白くならないでも詳しく整理しています。
次にどうするか
原因の見当がついたら、次の手を考えます。
記録を持って相談する
まず、担当の歯科医師に率直に伝えてください。「思ったほど変わっていない」と伝えることは、遠慮する必要のないことです。
そのとき、開始前と現在の写真やシェードの記録があると話が早くなります。 感覚ではなく記録で共有できると、続ける意味があるかどうかの判断もしてもらえます。
ホームを足す
オフィスだけで進めていた場合、ホームホワイトニングを組み合わせるという選択があります。
通院日以外にも進められるため、全体としての作用量が増えます。オフィスとホームでは薬剤の作用のしかたが違うため、組み合わせることで変化の出方が変わります。進め方はデュアルホワイトニングにまとめています。
ただし刺激が重なるため、しみやすい方は調整が必要です。
別の手段を検討する
人工物や神経を失った歯が原因の場合、ホワイトニングでは解決しません。
人工物なら色を合わせて作り直す、神経を失った歯なら内側から漂白する方法があります。後者の費用はウォーキングブリーチの値段にまとめました。続けても届かない原因なのかどうかを、まず確認してください。 判断がつかないまま回数を重ねるのが、もっとも費用が積み上がる進め方です。
いまの結果が想定の範囲か、続ける意味があるかは、見てもらうと切り分けられます。
よくある質問
追加で受ければ白くなりますか
回数が足りていないだけであれば、続けることで変わります。ただし、到達点の問題や人工物が原因であれば、回数を重ねても届きません。どちらなのかを先に確認してください。判断がつかないまま追加するのは避けたいところです。
奥歯だけ変わっていません
料金設定によって、対象が上下の前歯だけに設定されていることもあります。まず、どこまでが対象だったかを確認してください。対象に含まれていた場合は、薬剤が届きにくい位置だった可能性や、詰め物が入っている可能性が考えられます。
施術直後より数日後のほうが暗く見えます
一時的なマスキング効果が薄れたためと考えられます。効果がなくなったのではなく、落ち着いたあとの色がその回の結果です。判断するときは、施術直後ではなく施術前の状態と比べてください。
しみただけで白くならなかったのですが
しみる症状は薬剤が作用する過程で起こるもので、変化の量とは直接対応しません。症状が出たからといって強く作用したとは限らず、逆も同様です。しみやすい自覚がある場合は、次回に向けて濃度や時間の調整を相談してください。
まとめ
オフィスホワイトニングで結果に納得できないとき、切り分けは4段階です。
まず、いつの状態を見て判断しているかを確かめてください。施術直後の白さの一部は一時的なもので、数日で落ち着きます。比べるべきなのは施術直後ではなく、施術を受ける前の状態です。
次に回数です。1回の変化は2〜3段階が目安で、目標到達までは3〜5回。しかも上がり方は後半ほど鈍ります。 1〜2回で判断しているなら、まだ評価の段階に来ていません。
そのうえで施術側の条件を確認します。事前のクリーニングが十分だったか、システムの設定はどうだったか、そして対象の範囲に含まれていた歯はどこまでか。 奥歯が変わっていないのは、対象外だった可能性があります。
最後に歯の側の条件です。人工物、神経を失った歯、薬の影響による変色、もともとの歯質による上限。これらは回数を重ねても解決しません。
続ける意味があるかどうかを判断するために、記録を持って率直に相談してください。 判断がつかないまま回数を重ねるのが、もっとも費用が積み上がる進め方です。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



