歯を白くしたい。ただ、調べてみると1回3,000円から70,000円まで出てきて、どこを見れば自分の負担が分かるのかがつかめない。安いところを選んで思ったほど変わらなかった、という話も目にする。
費用を抑えたいのは当然の要求です。ここでは相場を並べるのではなく、総額を下げるために何をすればいいのかを扱います。表示価格が安く見える仕組みを内訳から分解したうえで、効き目の大きい順に手順を並べ、最後に「安く済ませようとしてかえって高くつく」経路も整理します。
なお、特定の歯科医院を挙げて価格を比べることはしません。金額はすべて一般的な相場です。
「安い」には2つの意味がある
最初に、言葉を分けておきます。ここが混ざったままだと、どの情報も同じに見えてしまいます。
表示価格の安さと、総額の安さは別物
料金表に出ている金額が「表示価格」です。1回いくら、1セットいくらという数字がこれに当たります。
一方、目標の白さに届いて、それを一定期間保つまでに実際に払う合計が「総額」です。読者が本当に知りたいのは後者ですが、検索して出てくるのは前者です。このずれが、比べにくさの正体です。
総額は「単価 × 回数 + 維持費」で決まる
総額を分解すると、次の3つの掛け算と足し算になります。
- 単価:1回、あるいは1セットの価格
- 回数:目標の白さに届くまでに必要な回数
- 維持費:色が戻ったあとに、白さを保つためにかかる費用
単価だけが安くても、回数が多ければ総額は上がります。維持のために毎月何かを続けるなら、そのぶんも積み上がります。
初期費用と1年後の総額は逆転することがある
数字で見ると分かりやすくなります。あくまで相場に基づく試算です。
| 初期にかかる額 | 1年間の目安 | 到達できる範囲 | |
|---|---|---|---|
| 市販のホワイトニング歯磨き粉 | 1,000〜3,000円 | 継続するぶん積み上がる | 表面の着色まで |
| セルフホワイトニング(サロン) | 1回2,000〜5,000円 | 通う頻度に比例して増える | 表面の着色まで |
| ホームホワイトニング | 8,000〜40,000円(マウスピース作成を含む) | ジェルの追加購入が加わる | 歯そのものの色みを明るく |
| オフィスホワイトニング | 1回10,000〜70,000円 | 3〜5回+色戻り後の再施術 | 歯そのものの色みを明るく |
初期の1回だけを見れば上の2つが安くなります。ところが、継続を前提にすると差は縮まります。そして到達できる範囲が違うため、続けても目的に届かないことがあります。ここが判断のいちばん難しいところです。
種類ごとの相場そのものはホワイトニングの値段に一覧でまとめています。
表示価格が安く見える4つの理由
同じ「オフィスホワイトニング1回」でも価格に幅が出ます。手抜きだから安い、という単純な話ではありません。内訳を見ると理由がはっきりします。
対象の歯の本数が違う
もっとも見落としやすいのがこれです。料金が何本ぶんを指しているかは、料金表に書かれていない場合も少なくありません。
上下の前歯だけを指す設定もあれば、笑ったときに見える範囲まで含む設定もあります。本数が違えば価格が違うのは当然で、そこを揃えずに数字だけを並べても比べたことになりません。
初回限定・お試しの価格である
初回だけの価格が表示されている場合、2回目以降は別の金額になります。
ホワイトニングは1回で終わることが少ない処置です。3回、4回と続ける前提で考えると、2回目以降の金額のほうが総額への影響は大きくなります。初回の数字だけで判断すると、見込みが外れます。
診察・クリーニング・マウスピース代が別になっている
施術そのものの価格だけが表示され、周辺の費用が別立てになっている場合もあります。よくあるのは次の項目です。
- 初診料・診察料
- レントゲン撮影
- 施術前のクリーニング
- ホームホワイトニングのマウスピース作成費
- 知覚過敏が出た場合の処置
これらが含まれているか別かで、実際に払う額は変わります。安く見える表示ほど、含まれる範囲が狭いことがあります。
薬剤の追加購入が前提になっている
ホームホワイトニングでは、最初のセットに含まれるジェルの本数が決まっています。目標の白さに届く前に使い切れば、追加で購入することになります。
つまり最初のセット価格は、そこまでの費用であって、完了までの費用ではありません。1本あたりいくらで、何本くらい必要かを聞いておくと見通しが立ちます。
安さの正体は「作用する範囲」の違い
ここまでは同じ土俵の中での価格差でした。桁が違う安さには、別の理由があります。
歯科医院でしか扱えない薬剤がある
歯の内部に蓄積した色素を分解するのは、過酸化水素や過酸化尿素という薬剤です。これらを扱う行為は医療行為として位置づけられており、歯科医師の管理のもとでのみ行えます。
サロンで行うセルフホワイトニングや市販品には、これらは使われていません。使われているのは、歯の表面に付いた着色に働きかける成分です。
つまり、桁が違う安さは設備や技術の差ではなく、制度上の線引きによるものです。安いから効果が低い、という言い方は正確ではありません。作用する範囲が違う、というのが実態です。詳しくはセルフホワイトニングの効果で整理しています。
着色だけが原因なら、より安い出口がある
ここが本題です。歯が黄ばんで見える原因は、大きく2つに分かれます。
ひとつは、コーヒーや紅茶、お茶などによる着色が表面に付いている状態。もうひとつは、歯そのものの色みが濃い状態です。加齢による変化や、もともとの歯質による違いがこれに当たります。
前者であれば、歯科医院のクリーニングで落とせます。着色の除去は歯周病の治療の一環として保険が適用されることがあり、その場合の負担はホワイトニングよりかなり軽くなります。
自分の黄ばみが着色によるものなら、ホワイトニングを受けずに解決する可能性があります。 これがもっとも費用を抑えられる道筋です。原因の分け方は歯の黄ばみを取る方法にまとめました。
自分がどちらのタイプかを先に確かめる
一方、歯そのものの色みが原因の場合は、表面に働きかける方法では届きません。安い方法を何回繰り返しても、到達点は自分の歯の本来の色までです。
結果として、安いはずの選択を重ねたのに目的に届かず、最終的に歯科医院のホワイトニングを受ける。この経路がもっとも高くつきます。
そして、自分がどちらのタイプかは見た目だけでは判断が難しいところです。だから順番として、確かめるのが先で、方法を選ぶのが後になります。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。本記事の金額はすべて一般的な相場であり、特定の医院や店舗の料金ではありません。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
自分の黄ばみが着色によるものかどうかは、見てもらえばその場で分かります。
総額を下げる5つの手順
ここからが実際の手順です。上にあるものほど効き目が大きく、下の2つは効いてくるまでに時間がかかります。順番に見ていきます。
手順1:クリーニングで足りるかを先に確かめる
前述のとおり、着色が原因ならクリーニングで解決する可能性があります。
これを先に確かめるだけで、ホワイトニングの費用がまるごと不要になるかもしれません。効き目という点では、他のどの工夫よりも大きくなります。
確かめ方は単純で、歯科医院でクリーニングを受けて、その直後の変化を見ることです。はっきり明るくなったなら着色の割合が大きく、あまり変わらなければ歯そのものの色みの影響が大きいと判断できます。
手順2:目標の白さを決めて回数を固定する
総額を膨らませる最大の要因は、回数が読めないことです。
「もう少し白く」と続けているうちに、当初の見込みを超えていく。これはよく起こります。防ぐには、始める前にシェードガイドで目標の色を決め、そこに届いたら止めると決めておくことです。
目標を決めておけば、必要な回数の見込みが立ち、総額の上限も決まります。曖昧なまま始めると上限がなくなります。
手順3:白くする範囲を絞る
日常生活で見えているのは、上下の前歯を中心とした範囲です。奥歯まで含めるかどうかで費用は変わります。
まず見える範囲だけで進めて、必要を感じたら広げる。この順番なら、最初の出費を抑えられます。ただし、範囲を区切ると境目で色の差が出ることがあるため、どこまでを対象にするかは相談して決めてください。
手順4:色戻りの周期を延ばす
白さは永久には続きません。一般に3〜6ヶ月ほどで色が戻り始めます。年単位で見ると、この再施術の頻度が総額を左右します。
周期を延ばす方法は地味ですが確実です。色の濃い飲食物のあとに口をゆすぐ、飲み物にストローを使う、施術直後の24時間は着色しやすいものを避ける。こうした積み重ねで、次の施術までの間隔が変わります。
喫煙している場合は、色戻りがかなり早くなります。ここが変えられるなら、費用への影響はもっとも大きい部分です。維持の考え方はホワイトニングの頻度で整理しています。
手順5:通院回数の少ない方法を選ぶ
見落とされやすいのが、通院にかかる負担です。交通費が積み上がるだけでなく、平日に通うために仕事を調整すれば、そのぶんも実質的な費用になります。
ホームホワイトニングは自宅で進められるため、通院の回数を抑えられます。オンラインでの診察に対応している場合は、さらに少なくなります。表示価格だけでは見えない部分ですが、総額で考えるなら計算に入れる価値があります。
安く済ませようとして高くつく3つのパターン
節約の方向を間違えると、結果的に支出が増えます。実際に起こりやすい3つを挙げます。
虫歯を放置したまま始める
費用を抑えたいからと、治療を後回しにして先にホワイトニングを受ける。これは高くつきます。
穴があいた歯に薬剤が触れると、薬剤が象牙質に直接届いて強い痛みが出ることがあります。途中で中断すれば、そこまでの費用が目標に届かないまま残ります。虫歯自体も進行するため、治療の範囲が広がって治療費も増えます。順番についてはホワイトニングと虫歯にまとめています。
自己判断で強い薬剤や長時間の使用に走る
回数を減らして安く上げようと、指定より長く装着する、濃度の高い薬剤を個人輸入で入手して使う。こうした使い方は、しみる症状を強く出します。
症状が出れば休むことになり、結局は予定より長くかかります。知覚過敏の処置が必要になれば、その費用も加わります。濃度と使用時間はセットで設計されているため、片方だけを変えると設計が崩れます。
途中でやめる
もっとももったいないのがこれです。目標に届く前にやめれば、それまでに払った費用は中途半端な結果にしか結びつきません。
途中でやめる理由の多くは、想定より費用がかさんだことか、症状が出て続けられなくなったことです。どちらも、始める前に総額の見込みを立てておけば避けやすくなります。安く始めることより、最後まで続けられる設計にすることのほうが、結果的に安く済みます。
見込みが立たないまま始めるより、先に総額を確かめておくほうが安全です。
よくある質問
保険は使えますか
ホワイトニングは審美を目的とした処置なので、保険は適用されません。医療費控除も原則として対象外です。ただし、着色の除去や歯周病の治療として行うクリーニングは、保険が適用される場合があります。この違いを知っておくと、選択肢が広がります。
分割払いや月額制はありますか
歯科医院によって、分割払いに対応している場合や、月ごとの支払いで進める仕組みを用意している場合があります。総額は変わりませんが、一度に用意する額を抑えられます。支払い方法については、カウンセリングの際に確認してください。
料金が安い歯科医院は薬剤の質が低いのですか
価格差の理由は、対象の本数、含まれる項目、使用するシステムの方式など複数あります。安いことが直ちに質の低さを意味するわけではありません。判断したいのであれば、価格の数字ではなく「何が含まれているか」を確認するほうが確実です。オフィスホワイトニングの価格差の要因はオフィスホワイトニングの費用で詳しく整理しています。
学生でも受けられる範囲はありますか
年齢による制限は歯の成長段階によって判断されるため、まず診察で確認することになります。費用の面で言えば、着色が原因ならクリーニングで済む可能性があり、これがもっとも負担の軽い選択肢です。まず原因を確かめるところから始めてください。
まとめ
「安い」には表示価格の安さと総額の安さがあり、この2つは逆転することがあります。総額は「単価 × 回数 + 維持費」で決まるため、単価だけを見ても実際の負担は分かりません。
表示価格が安く見えるのは、対象の本数が少ない、初回限定である、周辺費用が別立てになっている、薬剤の追加購入が前提になっている、のいずれかであることが多くなります。一方、桁が違う安さは制度上の線引きによるもので、作用する範囲そのものが違います。
総額を下げる手順は、効き目の大きい順に、クリーニングで足りるかを先に確かめる、目標の白さを決めて回数を固定する、範囲を絞る、色戻りの周期を延ばす、通院回数の少ない方法を選ぶ、の5つです。
なかでも最初の手順がもっとも効きます。黄ばみの原因が表面の着色なら、ホワイトニング自体が不要になることがあるためです。安く始めることよりも、最後まで続けられる設計にすることが、結果として費用を抑えます。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



