結論から書くと、インプラントの見えている部分はホワイトニングで白くなりません。人工物だからです。
ただ、知りたいことの本題はその先にあると思います。これから入れるなら順番をどうするのか。すでに入っているなら、周りの歯を白くしたときにそこだけ浮いてしまうのをどうするのか。
ここでは白くならない理由を押さえたうえで、これから入れる場合の順番と、すでに入っている場合の3つの選択肢を整理します。費用をかけずに違和感を避ける方法もあります。
インプラントはホワイトニングで白くならない
まず前提を確認します。
見えている部分は人工物
インプラントは、顎の骨に埋める人工歯根と、その上に取り付ける支台、そして口の中に見えている被せ物で構成されています。
このうち見えている部分は、セラミックやジルコニアといった人工の材料でできています。天然の歯とは素材が違います。
薬剤が作用するのは天然の歯の色素
ホワイトニングの薬剤は、歯の内部に蓄積した有機の色素を分解することで色を薄くします。分解する対象があって初めて成立する仕組みです。
人工物には、その対象がありません。だから薬剤を作用させても色は変わりません。仕組みの詳細はホワイトニングの仕組みで整理しています。
これはインプラントに限らず、セラミックの被せ物、レジンの詰め物、金属のいずれにも当てはまります。
ただし着色は付く。落とす手段は別にある
ここは混同されやすい点です。色が変わらないことと、汚れが付かないことは別です。
人工物の表面にも、コーヒーや紅茶による着色は付着します。時間とともにくすんで見えるようになることがあります。
これはホワイトニングの領域ではなく、歯科医院でのクリーニングや研磨で対応する範囲です。「白くならない」からといって、何もできないわけではありません。
これから入れる場合の順番
インプラントの予定がある段階なら、選択肢は広く取れます。
ホワイトニング → 色を決める → 上部構造
原則はこの順番です。
- 先にホワイトニングで周りの天然歯を目標の明るさにする
- 明るくなった歯の色に合わせて、上部構造の色を決める
- その色で作製する
この順番なら、完成したときに周囲と揃います。逆にすると、白くした歯の隣に元の色の被せ物が残ります。
順番を守る理由は作り直しの負担
天然歯の詰め物でも同じ理屈が働きますが、インプラントの場合は順番の重要度がより高くなります。
理由は、作り直しの負担が大きいためです。上部構造を作り直す場合、費用も工程も、小さな詰め物を入れ替えるのとは比べものになりません。
つまり、順番を間違えたときの代償が大きい。だから最初に決めておく価値があります。
期間の見積もり
インプラント治療そのものに数ヶ月かかることが多く、そこにホワイトニングの期間が加わります。
ホワイトニングの目安は、オフィスなら3〜5回で1〜2ヶ月、ホームなら1〜3ヶ月です。この期間を治療計画のどこに挟むかは、担当の歯科医師と相談して決めることになります。
期日がある場合は、この合計から逆算してください。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や方法によって異なります。インプラント治療の費用とは別にかかります。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方や必要な回数には個人差があります。
治療とホワイトニングを組み合わせた段取りは、状態を見てもらうと具体的に組めます。
すでに入っている場合の3つの選択肢
こちらが本題です。すでにインプラントが入っている状態でホワイトニングを受けると、周りの歯だけが明るくなり、その部分が相対的に暗く見えるようになります。
対処は3つあります。
| 選択肢 | 内容 | 負担 | 向く条件 |
|---|---|---|---|
| 上部構造を作り直す | 周りを白くしてから色を合わせて再製作 | 費用・期間ともに大きい | 前歯など目立つ位置 |
| 白くする程度を調整する | インプラントの色に近い範囲で止める | 追加費用なし | 差を出したくない場合 |
| そのままにする | 差を許容する | なし | 奥歯など目立たない位置 |
上部構造を作り直して色を合わせる
もっとも仕上がりが揃う方法です。周りの歯を目標まで明るくしてから、その色に合わせて上部構造を作り直します。
ただし費用と期間がかかります。また、作り直せるかどうかは固定の方式や現在の状態によって変わるため、実際に可能かは診察で確認することになります。
前歯など、笑ったときに見える位置にある場合は、この選択肢が検討されます。
白くする程度を調整する
あまり紹介されませんが、費用をかけずに違和感を避けられる方法です。
考え方を逆にします。人工物の色に天然歯を合わせるのではなく、天然歯の目標をインプラントの色に近いところで止めるという設計です。
もともとの歯の色より明るくはなるが、インプラントより明るくはしない。この範囲で止めれば、差は目立ちません。上部構造を作り直す費用はかかりません。
到達できる白さは制限されますが、「口の中で色が揃っていること」を優先するなら、合理的な選択になります。開始前に目標の色を決める際、シェードガイドでインプラントの色を確認したうえで設定します。
そのままにする
差を許容するという判断もあります。
インプラントが奥歯にある場合、日常生活で見える範囲に入らないことがあります。この場合、周りの歯を明るくしても実際には気にならないことが多くなります。
どこに入っているかで、判断の重みはかなり変わります。
施術前に確認しておくこと
進める前に押さえておきたい点を挙げます。
インプラント周囲の歯ぐきの状態
インプラントの周りの歯ぐきに炎症がある場合、薬剤の刺激が加わるのは望ましくありません。
歯ぐきの腫れや出血がある状態なら、先にそちらへの対処が必要です。定期的に受診していない場合は、この機会に状態を見てもらってください。
マウスピースとの関係
ホームホワイトニングのマウスピースは、口全体を覆う形で作られます。インプラントの部分も覆いますが、そこに薬剤が作用することはありません。
歯科医院によっては、ジェルを塗る範囲を天然歯側に絞るよう指示が出ることもあります。手順の詳細は処方の際に確認してください。
どこに何本入っているか
自分で把握できていないこともあります。とくに複数本入っている場合や、他の被せ物と混在している場合は、口全体でどこが人工物なのかを整理しておく必要があります。
色の設計は口全体で考えるものです。 1本だけを見て決めると、別の場所で差が出ます。
天然歯側で起きること
インプラント側だけでなく、天然歯の側にも注意点があります。
到達点には個人差がある
どこまで白くできるかは、もともとの歯質や変色の原因によって変わります。加齢によって象牙質の色みが濃くなっている場合、到達できる範囲は控えめになることがあります。
上部構造の色を先に決めてしまうと、天然歯がそこまで届かないという事態も起こり得ます。先に天然歯を明るくしてから色を決めるという順番には、この意味もあります。
他の詰め物も同時に浮く
インプラント以外にも、詰め物や被せ物が入っていることがあります。これらも同じように色は変わりません。
インプラントの対処だけを考えていると、施術後に別の場所が浮いて見えることに気づきます。口全体を見てもらったうえで、どこまで手を入れるかを決めてください。詰め物との順番についてはホワイトニングと虫歯にもまとめています。
自分の口の中でどう設計するのがよいかは、見てもらうと整理できます。
よくある質問
インプラントの表面が着色したらどうすればいいですか
歯科医院でのクリーニングや研磨で落とせることがあります。ホワイトニングの薬剤では色は変わりませんが、表面に付いた着色は別の手段で対応できます。ただし材質によって適した方法が違うため、自己判断で研磨剤の強い歯磨き粉を使うのは避けてください。
上部構造の色だけ後から変えられますか
作り直すことで対応できる場合があります。ただし、固定の方式や現在の状態によって難易度が変わるため、実際に可能かどうかは診察で確認することになります。費用と期間も含めて、事前に見積もってもらってください。
インプラントがある側の歯にマウスピースを装着しても大丈夫ですか
一般には問題ありません。ただしインプラント周囲の歯ぐきに炎症がある場合は、先にそちらへの対処が必要です。ジェルを塗る範囲について指示が出ることもあるため、処方の際に確認してください。
差し歯やブリッジでも同じですか
同じです。人工物である以上、薬剤で色は変わりません。ブリッジの場合は隣接する天然歯との色の関係も関わるため、口全体での設計が必要になります。
まとめ
インプラントの見えている部分は人工物なので、ホワイトニングで色は変わりません。ただし表面の着色は付くため、そちらはクリーニングで対応できます。
これから入れる場合の順番は、ホワイトニング → 色を決める → 上部構造の作製です。天然歯の詰め物と同じ理屈ですが、インプラントは作り直しの負担が大きいぶん、順番の重要度が高くなります。
すでに入っている場合の選択肢は3つです。上部構造を作り直して色を合わせる、白くする程度をインプラントの色に近いところで止める、そのままにする。
このうち2つ目は、人工物に天然歯を合わせるという発想で、追加の費用をかけずに違和感を避けられます。到達できる白さは制限されますが、口の中で色が揃っていることを優先するなら合理的です。
どの選択肢が向くかは、インプラントの位置と、他に人工物がどこに入っているかで変わります。色の設計は1本ではなく口全体で考えてください。
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・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



