受け口の矯正費用は、目安として30万円台から、外科手術を含むと400万円近くまでの幅があるといわれます。「幅がありすぎて、結局自分はいくらになるのか分からない」と感じていませんか。金額が読めないまま相談に行くのは怖い、という方も多いはずです。
結論からいうと、費用の幅がこれほど広いのは、受け口のタイプ(歯が原因か、骨格が原因か)と重症度によって、進む治療ルートそのものが分かれるためです。つまり「受け口の相場」を眺めるより、「自分がどのルートに乗るのか」が分かれば、費用の見当は一気に付けやすくなります。ルートの分かれ方から、ルート別の総額目安、保険が使える条件、見積もりで確認したいポイントまで、順に見ていきましょう。
受け口の矯正費用に幅がある理由——タイプと重症度でルートが決まる
受け口(反対咬合)は、下の歯が上の歯より前に出ている状態です。同じ受け口でも、原因と程度によって治療の中身が大きく変わり、それがそのまま費用の差になります。
歯性の受け口と骨格性の受け口
受け口の原因は、大きく2つに分かれます。1つは、歯の傾きや位置が原因の「歯性」の受け口。下の前歯が前方に傾いている、上の前歯が内側に倒れているといったケースです。もう1つは、下顎の骨そのものが大きい・前方に位置しているなど、骨格が原因の「骨格性」の受け口です。実際には両方の要素が混ざっているケースもあります。
原因と程度で治療ルートが分かれる
歯性で軽度〜中等度なら、マウスピース矯正やワイヤー矯正で歯を動かす治療が候補になります。範囲が狭ければ、前歯を中心とした矯正で対応できる場合もあります。一方、骨格性の要素が強い場合は、歯を動かすだけでは限界があり、顎の骨の手術を組み合わせる外科矯正が選択肢に入ります。
「受け口は手術になる」というイメージが先行しがちですが、外科手術が必要になるのは骨格性の程度が大きいケースです。どのルートに当たるかは検査をしないと分からないため、費用を知ることは、自分のタイプを知ることとほぼ同じ意味になります。受け口の原因タイプと治療法の全体像は受け口は矯正で治せる?で詳しく解説しています。
治療ルート別の費用目安
3つのルートごとに、総額の目安を見ていきます。
| 治療ルート | 主な対象 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| マウスピース矯正 | 歯性・軽度〜中等度 | 前歯中心 330,000円(税込)〜/全体は一般に60万〜100万円程度 |
| ワイヤー矯正(表側・裏側) | 歯性〜混合・中等度以上も | 一般に60万〜150万円程度(裏側は100万円を超えることも) |
| 外科矯正 | 骨格性が強いケース | 自由診療では総額100万円台以上/保険適用の条件を満たせば自己負担は大きく下がる |
マウスピース矯正の費用
歯性で軽度〜中等度の受け口なら、マウスピース矯正が候補になります。マウスピース矯正 Oh my teethの場合、前歯を中心としたBasicプランが330,000円(税込)・平均期間約3ヶ月、奥歯を含むProプランが660,000円(税込)・平均期間約6ヶ月、全歯対象のコンプリヘンシブプランが880,000円(税込)です(期間はいずれも保定期間を除く目安で、個人差があります)。診察料・検査料は無料で、通院ごとの調整料が加算されない一律料金の体系です。
費用に関する注記(自由診療について)
マウスピース型矯正装置による歯列矯正は自由診療(保険適用外)です。標準的な費用はBasicプラン330,000円(税込)〜。主なリスク・副作用として、歯の移動にともなう痛みや違和感、歯根吸収、ブラックトライアングルなどが生じる場合があります。重度の歯周病や顎関節症の方など、治療を受けられない場合があります。
ただし、受け口がマウスピース矯正の適応かどうかは症例によります。対応できる受け口とできない受け口の線引きは反対咬合(受け口)はマウスピース矯正で治せる?で詳しく整理しています。
ワイヤー矯正の費用
歯の表側に装置を付ける表側矯正は、一般に60万〜150万円程度とされ、対応できる症例の幅が広いのが特徴です。装置を目立たせたくない場合の裏側矯正は、技術的な難易度から100万円を超えることも珍しくありません。抜歯や補助装置が必要な場合は、その分の費用が加わることがあります。
外科矯正の費用
骨格性の要素が強い受け口では、顎の骨の位置を手術で調整し、前後の歯列矯正と組み合わせる外科矯正が選択肢になります。自由診療で行う場合は手術・入院費を含め総額100万円台以上とまとまった金額になりますが、次で見る条件を満たすと保険適用の対象になり、自己負担は大きく変わります。
保険が適用されるのはどんな受け口?
「受け口の矯正は保険が使える」という情報と「使えない」という情報が混在していますが、条件で整理すると次のようになります。
原則として、見た目や歯並びの改善を目的とした矯正治療は保険適用外の自由診療です。例外となるのは、顎変形症(がくへんけいしょう)と診断され、顎の骨の手術を併用して治療する場合です。この場合、指定を受けた医療機関(顎口腔機能診断施設等)で治療を受けることを条件に、手術と前後の矯正治療に健康保険が適用されます。高額療養費制度を併用すれば、月ごとの自己負担には上限も設けられます。
注意したいのは、保険ルートは「安く済むお得な選択肢」ではなく、手術と入院をともなう医学的な治療だという点です。保険が使えるかどうかは重症度の診断で決まるものなので、費用を起点に治療法を選ぶのではなく、診断を起点にルートを確認するのが順序になります。
なお、保険適用外の矯正でも、噛み合わせの改善など治療目的と認められる場合は医療費控除の対象となり、確定申告で税負担を軽くできる可能性があります。
装置代以外にかかる費用と「総額」の確認方法
同じルートでも、医院の料金体系によって最終的な支払額は変わります。見積もりを比較するときは、内訳と体系を押さえておくと迷いにくくなります。
費用の内訳の基本
矯正費用は、装置代だけではありません。一般に、初回の検査・診断料、装置代(基本料金)、通院ごとの調整・観察料、治療後に歯並びを保つための保定装置(リテーナー)代で構成されます。医院によっては、抜歯などの事前処置が別途かかることもあります。
料金体系は大きく2種類
料金体系には、治療完了までの費用をあらかじめ提示する総額制(トータルフィー制)と、基本料金に通院ごとの調整料などが加算されていく処置別加算型があります。処置別加算型は開始時の提示額が低く見えることがありますが、治療が長引くほど総額が膨らむ可能性があります。見積もりの場では「この金額に含まれないものは何か」「治療が延びた場合に追加はあるか」を確認しておくと、あとからの想定外を避けられます。
「安い順」で選ばない
費用を抑えたい気持ちは自然なものですが、適応に合わないルートを金額だけで選ぶと、仕上がりに納得できず再治療になり、かえって総額が膨らむことがあります。安く抑えられる条件がそろっているかどうかは症例次第です。費用を抑える考え方は歯列矯正を安く抑えるには?でも詳しく解説しています。
自分の受け口がどのプランに当たるのか、総額がいくらになるのかは、無料カウンセリングで確認できます。
自分の費用ルートは検査で決まる——相談前に知っておきたいこと
ここまでの目安を自分の金額に変えるには、検査で自分のタイプを知る必要があります。
精密検査でタイプと重症度が判定される
矯正前の精密検査では、レントゲンやセファロ分析(頭部X線規格写真)で骨格の位置関係を計測し、歯型や3Dスキャンで歯列の状態を記録します。これにより「歯性か骨格性か」「どの程度の移動が必要か」が判定され、治療ルートと費用がはじめて具体的になります。
カウンセリングで確認したい3点
見積もりの場では、次の3点を確認しておくと比較がしやすくなります。
- 総額と、追加費用が発生する条件
- 自分の受け口のタイプ(歯性/骨格性)と、その診断の根拠
- 提案されたルートが適応外だった場合の代替案
相談した医院で決める必要はない
検査やカウンセリングは、契約とは別のステップです。診断と見積もりを聞いたうえで持ち帰り、複数の医院で比較してから決めて構いません。初回カウンセリングを無料としている医院もあるため、まず自分のタイプと概算を知る場として使えば、費用が読めない不安は大きく減らせます。
費用の見当を付けるところから始めたい方は、無料カウンセリングで気軽に相談できます。
受け口の矯正費用でよくある質問
Q. 受け口はマウスピース矯正だと安く済みますか?
動かす範囲が前歯中心で済む軽度の歯性受け口であれば、全体矯正より費用を抑えられる可能性があります。ただしマウスピース矯正が適応になるかは症例によるため、金額の前に適応の診断が前提になります。
Q. 分割払いはできますか?
多くの医院でデンタルローンやクレジット分割に対応しています。マウスピース矯正 Oh my teethの場合、デンタルローンでBasicプラン月々3,500円〜の支払いが可能です。金利・手数料は支払い方法によって異なるため、総支払額での比較をおすすめします。
Q. 治療期間が延びると費用も増えますか?
料金体系によります。通院ごとの調整料が加算される体系では、期間が延びるほど総額が増える可能性があります。総額制の医院であれば、期間が延びても原則として追加はありません。契約前に「延長時の扱い」を確認しておくと安心です。
Q. 通院回数はどのくらいかかりますか?
装置と医院の体制によります。ワイヤー矯正では月1回程度の通院が一般的です。マウスピース矯正では、オンラインで経過を確認できる体制の医院なら通院回数は最低1回※からのクリニックもあります。
※通院回数は治療内容・個人の状態により異なります
まとめ
受け口の矯正費用に大きな幅があるのは、歯性か骨格性か・重症度によって、マウスピース矯正・ワイヤー矯正・外科矯正と進むルートそのものが分かれるためです。軽度の歯性なら前歯中心の矯正で費用を抑えられる可能性があり、骨格性で外科手術を併用する場合は、条件を満たせば保険適用の対象になります。
相場の幅を眺めて悩むより、検査で自分のタイプとルートを知ることが、費用を具体的にする近道です。見積もりでは総額と追加条件を確認し、納得できる医院を比較したうえで治療を選んでみてください。



