人前に立つ予定が決まっていて、それまでに歯の色をなんとかしたい。そんなとき候補に挙がるのが、歯科医院で受けるオフィスホワイトニングです。自宅で進める方法に比べて短期間で変化が出るため、期日が決まっている人には現実的な選択肢です。
ただ、調べ始めると疑問が増えていきます。1回で白くなるのか、それとも何度も通うのか。費用は1回15,000円から80,000円と幅があり、何が違うのかもわかりにくい。ここでは、オフィスホワイトニングの仕組みから当日の流れ、必要な回数と総額の考え方、そして色戻りへの備えまでを整理します。
オフィスホワイトニングとは、歯科医院で高濃度の薬剤を使って行う施術
オフィスホワイトニングは、歯科医院で歯の表面に薬剤を塗り、光を当てて反応を促す施術です。使用する薬剤は濃度が高く、歯科医師や歯科衛生士の管理下でのみ扱えます。施術はすべて医院内で完結し、自宅での作業はありません。
薬剤と光で歯の内部の色素を分解する
歯が黄ばんで見える原因は、表面の着色だけではありません。歯の内部にある象牙質の色みや、長年蓄積した色素も影響しています。
オフィスホワイトニングで使う薬剤は、この内部の色素を分解する働きを持ちます。光を当てるのは、薬剤の反応を促して短時間で効率よく作用させるためです。表面の汚れを削り落としているわけではありません。
ホームホワイトニングとの違いは濃度とスピード
自宅で行うホームホワイトニングは、濃度を抑えた薬剤を長時間かけて作用させます。対してオフィスホワイトニングは、高濃度の薬剤を短時間で作用させます。
同じ「歯の内部の色素を分解する」という目的でも、アプローチが逆方向です。短時間で変化を出せる代わりに、色が戻るのも比較的早いという性質があります。
セルフホワイトニングとの違いは扱える薬剤
自分で機器を操作するタイプのセルフホワイトニングでは、歯科医師の管理下でしか使えない薬剤は扱えません。そのため、歯の表面の着色を落とす方向のアプローチが中心です。
歯そのものの色みを変えたいのか、付着した着色を落としたいのか。目的によって必要なものが変わるため、ここを取り違えると「やったのに変わらなかった」という結果になりがちです。
1回でどのくらい白くなる?必要な回数の目安
もっとも知りたいのは、1回でどこまで変わるのかという点でしょう。ここが読めると、予定に間に合うかどうかを判断できます。
1回の変化は2〜3段階が目安
歯の色は、シェードガイドと呼ばれる色見本で段階的に表されます。オフィスホワイトニングでは、1回の施術で2〜3段階明るくなるのが一つの目安とされています。
ただし、もともとの歯の色や変色の原因によって、変化の出方には差があります。着色が主な原因であれば1回でもはっきり実感できることがある一方、歯そのものの色が濃い場合は緩やかな変化にとどまることもあります。
目標の白さまでは3〜5回
「1回で終わる施術」と思われがちですが、満足できる白さに到達するには3〜5回程度必要とされるのが一般的です。1回で劇的に白くしようとすると薬剤の負担が大きくなるため、複数回に分けて少しずつ進めます。
つまり、費用も時間も1回分では収まりません。ここを最初に押さえておくと、後から想定と違ったと感じずに済みます。
通う間隔と、期日から逆算する考え方
施術と施術の間は、1〜2週間程度空けるのが一般的です。歯を休ませる期間が必要なためです。
仮に3回受けるとすると、間隔を2週間とした場合で約1ヶ月、4回なら約1ヶ月半かかる計算になります。イベントや式など期日がある場合は、逆算して余裕を持たせておくと安心して臨めます。直前に詰め込むと、しみる症状が出たときに調整の余地がなくなります。
施術当日の流れと所要時間
初めて受けるときは、当日何をされるのかがわからないと予定を立てにくいものです。おおまかな流れを知っておくと見通しが立ちます。
カウンセリングと口の中の確認
まず現在の歯の色を確認し、どこまで白くしたいかをすり合わせます。同時に、虫歯や歯周病がないか、歯にひびが入っていないかを確認します。
未治療の虫歯があると薬剤がしみる原因になるため、先に治療が必要と判断されることがあります。
クリーニング
歯の表面に着色や歯石が付いていると、薬剤が均一に作用しません。そのため、施術前にクリーニングを行うのが一般的です。
このクリーニングだけでも、表面の着色が落ちて明るく見えることがあります。
薬剤の塗布と光の照射
歯ぐきを保護したうえで、歯の表面に薬剤を塗ります。その後、専用の光を当てて反応を促します。塗布と照射を数回繰り返す方式が多くとられます。
施術中は口を開けたままになりますが、痛みを伴う処置ではありません。薬剤が作用する過程で、しみる感覚が出ることはあります。
1回あたり30〜60分が目安
薬剤の塗布と照射にかかる時間は、1回あたり30〜60分程度が目安です。カウンセリングやクリーニングを含めると、来院から退出までは1時間から1時間半程度を見ておくとよいでしょう。
初回はカウンセリングが加わるぶん長めです。2回目以降は短くなる傾向があります。
費用の相場と、総額を見積もるときの考え方
費用を調べると幅の広い金額が出てきて、判断に迷うところです。金額そのものより、何によって差がつくのかを知る方が役に立ちます。
1回あたりの相場には幅がある
オフィスホワイトニングの費用は、1回あたりおよそ15,000円から80,000円が相場です。同じ施術名でも、価格帯がここまで開くのが特徴です。
幅が生まれる理由
差が生まれる主な要因は、使用する薬剤と機器のシステムです。高出力の機器を用いる方式は1回あたりの金額が高くなる傾向があり、簡易的な方式では抑えられます。加えて、クリーニング代が含まれているかどうか、初回のカウンセリング料が別途かかるかどうかでも総額は変わります。
費用に関する注記(自由診療について)
ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。治療内容は薬剤による歯の漂白で、費用は歯科医院や使用するシステムによって異なります。上記は一般的な相場であり、特定の医院の料金ではありません。主なリスク・副作用として、施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります。無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります。効果の感じ方には個人差があります。
「1回いくら」ではなく「必要な回数×1回」で見る
先に触れたとおり、目標の白さまでには3〜5回かかることが多い方法です。そのため、1回あたりの金額だけを比べると総額を見誤ります。
仮に1回20,000円のところで4回受ければ80,000円、1回50,000円のところで3回受ければ150,000円です。1回の金額が安くても回数が必要であれば総額は伸びます。問い合わせるときは、1回の料金に加えて「目標の白さまでに何回程度必要か」「回数券やコース料金があるか」「クリーニング代は含まれるか」を確認しておくと、横に並べて比べられます。
今の歯の色から、どのくらいの期間と費用が必要になりそうかは、状態を見てもらうと具体的になります。
知っておきたいデメリットと注意点
短期間で変化が出る方法ですが、その裏返しになる性質もあります。始める前に把握しておくと、想定外を避けられます。
色戻りが比較的早い
オフィスホワイトニングで得た白さは、3ヶ月から1年程度で徐々に戻っていくとされています。ホームホワイトニングと比べると、この色戻りが早い傾向があります。
短時間で強く作用させるぶん、歯の内部への定着という点では緩やかな方法に及ばないためです。白さを保ちたい場合は、2〜3ヶ月に1回程度のペースで受け直すか、別の方法を組み合わせることになります。
しみることがある
高濃度の薬剤を使うため、施術中や施術後に歯がしみる感覚が出ることがあります。多くは一時的なもので、時間の経過とともに落ち着いていきます。
もともと知覚過敏がある方は症状が出やすい傾向があります。事前に伝えておくと、薬剤の濃度や照射時間を調整してもらえる場合があります。
詰め物・被せ物は白くならない
薬剤が作用するのは天然の歯だけです。セラミックやレジンといった人工物の色は変わりません。
前歯に詰め物がある場合、周りの歯が白くなることで、その部分だけ色が浮いて見えるようになることがあります。気になる箇所がある方は、施術前に相談しておくとよいでしょう。
施術後しばらくは着色しやすい
施術直後の歯は、表面を覆っている膜が一時的に失われた状態になっています。この間はふだんより着色しやすいため、色の濃い飲食物は控えることがすすめられます。
コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、色の濃いソースなどが該当します。控える時間の目安は歯科医院の指示によって異なるため、施術後に確認しておきましょう。
受けられない場合がある
次に当てはまる方は、施術を受けられない、または時期を改める必要があります。
- 無カタラーゼ症と診断されている方
- 妊娠中・授乳中の方
- 未治療の虫歯や重度の歯周病がある方
- 歯の成長段階にある年齢の方
該当するかどうかは診察で確認します。自己判断せず、気になる点は事前に伝えておきましょう。
オフィスとホーム、どう選ぶか
どちらが優れているという関係ではなく、性質が異なります。何を優先するかで答えが変わります。
早さを取るか、持続を取るか
決まった日付までに変化がほしいなら、オフィスホワイトニングが向いています。一方、時間はかけてよいので白さを長く保ちたいなら、ホームホワイトニングの方が目的に合います。
期日がある場合でも、余裕が2〜3ヶ月あるならホームでも間に合う可能性があります。逆に2週間しかないなら、選択肢は絞られます。
組み合わせるという選択肢
オフィスで先に変化をつくり、その後ホームで維持していく方法は、デュアルホワイトニングと呼ばれます。早さと持続の両方を狙える考え方です。
ただし、それぞれに費用が発生します。総額が上がるため、目的と予算に照らして判断してください。
通院の負担で選ぶ
見落とされがちですが、通えるかどうかも現実的な判断材料です。オフィスホワイトニングは3〜5回の来院が前提です。平日に時間を取りにくい場合、この回数を確保できるかを先に考えておくと、途中で止まる事態を避けられます。
近年は診察をオンラインで行い、来院を最小限にする形をとっている歯科医院もあります。通院時間の確保が難しい方は、こうした進め方に対応しているかも含めて検討してみてください。
自分の歯の状態と予定に対して、どの方法が現実的かは相談すると整理できます。
オフィスホワイトニングのよくある質問
1回だけ受けても意味はありますか
1回でも2〜3段階明るくなることが期待できるため、変化を感じられる方は少なくありません。ただし、目標の白さまで到達するには複数回必要になることが多く、1回で終えた場合は色戻りも早くなります。写真を撮る予定が直前に迫っているなど、目的がはっきりしている場合には1回でも選択肢になります。
歯は傷まないのですか
ホワイトニングの薬剤は、歯を削ったり溶かしたりするものではありません。指示された方法で行う範囲であれば、歯の構造そのものを損なうものではありません。ただし、施術後に一時的なしみる症状が出ることはあります。回数や間隔を守らずに繰り返すと負担が大きくなるため、自己判断で詰め込まないことが大切です。
白さはどのくらい持ちますか
3ヶ月から1年程度が目安です。飲食の内容や喫煙の有無、日々のケアによって差が出ます。色が戻り始めたタイミングで受け直すか、ホームホワイトニングを組み合わせて維持する方法がとられます。
施術当日の食事はどうすればいいですか
施術直後は着色しやすい状態のため、色の濃い飲食物は控えることがすすめられます。水や色の薄い飲み物であれば問題になりにくいとされています。控える時間は歯科医院の指示によって異なるため、当日確認しておきましょう。
まとめ
オフィスホワイトニングは、歯科医院で高濃度の薬剤と光を使い、短期間で歯の内部の色素を分解していく施術です。1回で2〜3段階の変化が目安ですが、満足できる白さまでには3〜5回かかることが多く、1回あたり30〜60分の来院が必要になります。
費用は1回15,000円から80,000円と幅がありますが、判断するときは1回の金額ではなく、必要な回数を掛けた総額で見ることが大切です。色戻りが比較的早い点も、あらかじめ織り込んでおきたい性質です。
期日までの余裕、通える回数、そして総額。この3つを並べて考えると、自分にとって現実的な選択肢が見えてきます。
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※ホワイトニングは自由診療(保険適用外)です。
・治療内容:マウスピースを用いたホームホワイトニング
・標準的な費用:初月22,000円(税込/マウスピース作成を含む)、2ヶ月目以降11,000円/月(税込)。マウスピースをお持ちの方は初月11,000円(税込)
・主なリスク・副作用:施術中や施術後に歯がしみる(知覚過敏)、歯ぐきの一時的な白濁や刺激感、時間の経過にともなう色調の後戻りが生じる場合があります
・受けられない場合:無カタラーゼ症の方、妊娠中・授乳中の方、未治療の虫歯や重度の歯周病がある方などは受けられない場合があります
・効果の感じ方や必要な期間には個人差があります



