「この前歯のすきっ歯さえなければ…でも、矯正って高い」
「費用を抑えて前歯だけ治す方法はないの？」
そのお悩み、お口の状態によっては「部分矯正」で解決できるかもしれません。部分矯正とは、奥歯の噛み合わせは動かさず、気になる前歯だけを矯正する治療法です。
すべての歯を動かす全体矯正と比べて費用を抑えられ、治療期間も短いというメリットがあります。
本記事では、前歯のすきっ歯治療について、部分矯正で対応できるケースと全体矯正が必要になるケース、治療法別の費用相場、矯正以外の選択肢まで解説します。
＼こちらの記事もおすすめ／
「前歯だけ」のすきっ歯矯正は可能？
結論から言うと、前歯だけのすきっ歯は「部分矯正」で治療できる可能性が高いです。
部分矯正とは、治療範囲を前歯周辺に限定した矯正治療のことを指します。たとえば、前歯の隙間を閉じる場合や、過去に行った矯正治療の後戻りを修正する際などに選択されることがあります。
とはいえ、どんなすきっ歯でも部分矯正で治せるわけではありません。ここでは、部分矯正で対応しやすいケースと、全体矯正が必要になるケースの目安を見ていきましょう。
部分矯正で対応できる可能性が高いすきっ歯
すきっ歯が前歯に限定されていて、奥歯の噛み合わせに大きな問題がなければ、部分矯正で対応できる見込みがあります。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 隙間が前歯に限定されている(正中離開)
- 隙間の合計が軽度(2mm程度)
- 奥歯の噛み合わせに大きな問題がない
- 歯を動かすスペースが十分にある
- 過去の矯正の後戻りである
全体矯正が必要なすきっ歯
一方で、歯の隙間が歯列全体に及んでいたり、骨格的な問題が原因だったりする場合は、全体矯正が必要になります。
たとえば、以下のようなケースでは全体矯正が勧められます。
- 歯の隙間が全体的に広がっている
- 骨格的な問題が原因である
- 奥歯の噛み合わせを根本的に改善する必要がある
前歯だけのすきっ歯矯正の費用相場は10万〜70万円
前歯だけの部分矯正にかかる費用は、治療法によって幅がありますが、10万円〜70万円程度が相場です。
すきっ歯は専門用語で「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼ばれ、前歯だけに隙間がある場合と、奥歯まで全体的に隙間がある場合があります。前者の場合は部分矯正で、後者の場合は全体矯正で治療するのが一般的です。
治療範囲が限定される部分矯正は、やはり全体矯正に比べて費用を抑えることができます。
| 治療方法 | 全体矯正の費用相場 | 部分矯正の費用相場 |
| マウスピース矯正 | 60万～100万円 | 10万～40万円 |
| ワイヤー矯正(表側矯正) | 60万～130万円 | 30万～60万円 |
| ワイヤー矯正(裏側矯正) | 100万～170万円 | 40万～70万円 |
マウスピース矯正：10万～40万円
マウスピース矯正は、マウスピース型の装置を歯の動きに合わせて定期的に新しいものに交換しながら、歯並びを整えていく方法です。
装置が透明で目立ちにくいため、矯正していることが周囲に気づかれにくいです。食事や歯磨きの際には自分で取り外すことができます。そのため、衛生的で、食事の制限もほとんどありません。
ただ、1日に20時間以上など、決められた装着時間を自分で守る必要があります。歯の動かし方によっては、マウスピース矯正が適応とならないケースもあります。
こちらの記事もおすすめ！
マウスピース矯正の値段はいくら？大人・子ども・症例別の料金相場
ワイヤー矯正(表側矯正)：30万～60万円
歯の表面に「ブラケット」という装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯を動かす矯正方法です。矯正治療として長い歴史があり、幅広い歯並びの症例に対応可能です。
歯を動かす力が効率的に伝わりやすいため、比較的治療が計画通りに進みやすいとされます。
ただし、装置が歯の表面にあるため、外から見て目立ちやすいです。また、装置が固定式のため、歯磨きがしにくく、磨き残しに注意が必要です。
ワイヤー矯正(裏側矯正)：40万～70万円
歯の裏側にブラケットとワイヤーを取り付けて歯を動かす方法です。「舌側矯正（ぜっそくきょうせい）」とも呼ばれます。
装置が歯の裏側にあるため、外からは全く見えません。見た目を気にされる方によく選ばれます。
ただし、歯の裏側は形状が複雑なため、装置の製作や調整に高い技術が求められ、費用が高額になる傾向があります。また、表側矯正と同様、装置が固定式のため、清掃に工夫が必要です。
「装置代」だけじゃない！治療にかかる費用の総額
ここで一つ、注意しておきたいポイントがあります。それは、矯正治療にかかる費用は「装置代」だけではない、ということです。
治療を開始する前の相談や検査から、治療後の歯並びを維持するための装置まで、さまざまな費用が発生します。
- 初診相談料・カウンセリング料：無料～1万円程度
- 精密検査・診断料：3万～6万円程度(レントゲン撮影、歯型採りなど)
- 矯正装置代：上記の表を参照
- 調整料(処置料)：1回の通院につき3千円～1万円程度
- 保定装置(リテーナー)代：2万～6万円程度(治療後に歯が元に戻るのを防ぐ装置)
これらの費用を合計したものが、最終的に支払う総額となります。
歯科クリニックによっては、最初にすべての費用を含んだ総額を提示する「トータルフィー制度」を採用しているところもあります。後から追加費用が発生する心配がないため、安心して治療を始めたい方にはおすすめです。カウンセリングの際に、料金体系についてもしっかり確認しておきましょう。
【矯正以外の選択肢】前歯の隙間を埋める治療法と費用
「歯を動かすのは時間がかかりそう」「もっと手軽に見た目を整えたい」と考える方もいるかもしれません。実は、矯正治療以外にも前歯の隙間を解消する方法があります。
①ラミネートベニア：1本7万～
ラミネートベニアは、歯の表面を薄く削り、その上からセラミック製の薄い板を貼り付ける治療法です。歯の色や形も同時に美しく整えることができます。
費用相場は、1本あたり7万円～15万円程度。治療期間は数週間(通院2～3回)と短いのが特長です。
ただ、ラミネートベニアは、強い衝撃で割れたり欠けたりするリスクがあります。また、根本的な歯並びの改善にはなりません。
②ダイレクトボンディング：1本1万～
ダイレクトボンディングは、コンポジットレジンという歯科用のプラスチック樹脂を歯に直接盛り付け、特殊な光を当てて固めることで隙間を埋める治療法です。虫歯治療の白い詰め物としてなじみのある素材かもしれません。
歯を削る量を抑えられ、場合によっては全く削らずに治療できるのが特徴です。費用相場は、1本あたり1万円～5万円程度。最短1日で治療が完了することもあります。
強度や耐久性はセラミックに劣り、ラミネートベニアと同様に根本的な歯並びは変わりません。
前歯だけのすきっ歯矯正の費用を抑えるには？
まず考えられるのが、「モニター制度」の活用です。これは、治療経過の写真やアンケートを提供することなどを条件に、通常よりも安い価格で治療を受けられる制度。
募集は不定期なことが多いので、気になるクリニックの公式サイトなどをこまめにチェックしてみると良いでしょう。
次に、「医療費控除」という制度を利用できる可能性があります。これは、1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで所得税の一部が還付される制度です。
「見た目を良くしたい」という審美目的の矯正は対象外ですが、歯科医師が「噛み合わせが悪く、機能的な問題がある」と診断した場合、治療目的の矯正とみなされ、医療費控除の対象になることがあります。
自分やすきっ歯の治療が対象になるか、確認してみることをおすすめします。
前歯だけのすきっ歯矯正でよくある質問(FAQ)
ここでは、すきっ歯の矯正治療についてよくある質問を紹介します。
Q1．前歯だけのすきっ歯矯正に公的医療保険は適用されますか？
A1．いいえ、原則として適用されません。すきっ歯など、見た目の改善を主な目的とする歯列矯正は「審美目的」とみなされ、自由診療（自費診療）となります。
Q2．輪ゴムなどを使って自力ですきっ歯を治す方法はありますか？
A2．ご自身で歯を動かそうと試みるのは、絶対にやめてください。インターネットなどで見かける輪ゴムなどを使った方法は、歯や歯茎に深刻なダメージを与える危険性が非常に高い行為です。歯並びの悩みは、必ず歯科医師に相談しましょう。
Q3．高校生など年齢によって矯正費用は変わりますか？
A3．基本的に治療内容が同じであれば年齢によって費用が大きく変わることはありません。ただし、成長期のうちに治療を始めると、あごの成長を利用してスムーズに歯を動かせる可能性があるといったメリットは考えられます。
まとめ
前歯のすきっ歯は、奥歯の噛み合わせに大きな問題がなければ「部分矯正」で治療できる可能性があります。気になる部分だけを動かすため、全体矯正に比べて費用や期間を抑えられるのがメリットです。
また、矯正以外にもラミネートベニアやダイレクトボンディングといった、より短期間で見た目を改善する方法もあります。
ご自身のすきっ歯の状態や予算、希望する治療期間に合わせて検討することが大切です。
当院では、矯正治療に関するカウンセリングを無料で行っています。あなたのすきっ歯がマウスピース矯正でどのように改善できるか、治療後の歯並びを3Dシミュレーションでご確認いただくことも可能です。まずはお話だけでも聞きに、お気軽にご相談ください。
